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第十話 「愛を叫ぶのはまだ早い?」5


「先輩……」


「よぉ、二年生!」


「崎島先輩、ビックリさせないでくださいよ」


「ほんとです……」


 茶色のカーディガンを腰に巻き付け、バックにはジャラジャラとキーホルダーを飾っている、茶髪のいかにも陽キャな文芸部の先輩、崎島花梨だった。


「んで、今日は早いなお前たち」


「そうすかね……」


「私も掃除してたんですけどね」


「え、まじか?」


「「まじっす」」


 あちゃーという顔をして、右手で頭をポリポリと掻く彼女。


「うちが遅かっただけかな、これは」


「ですね」


 すると、後ろから四葉がこんな質問をしてきた。


「そう言えば、崎島先輩ってあれやりました……?」


「あれって?」


「えっと、なんか、小説書いてこい……的なやつです」


「あぁ~~、あれか、柚人がボコられたときの……」


「おい、ちょっとその思い出し方には悪意がありませんかね、それは!」


「え、なんだ~~、もう一回やってもらいたいのかな? かなぁ~~??」


 僕の真顔にニヤけた煽り散らかす用の顔で対抗する陽キャ先輩、さすがの煽り能力、コミュ力に負けず劣らずの漫勉のにやけ顔には僕も多少の苛立ちが止まらなかった。むしろ、陽キャというのはこんなことを毎日されて生きているのかと思うの、どうにか尊敬の念がわいてきてしまう。


「煽り過ぎですよ、先輩……」


 椎奈が苦笑いでそう言ったが、崎島先輩のにやけ顔は大きくなる一方だった。


「まあ、こいつの話なんざどうでもいいしな、それで、小説だっけ?」


「そうですよ」


 若干ディスってきた崎島先輩を睨んだ僕だったが、漫勉の笑みで返され、そっぽを向くことしかできなかった。そんな自分に椎奈が笑みを浮かべて返したがその不甲斐なさに苦笑いを浮かべることしかできなかった。


「まったく、僕のだけ覚えてるのにそれは面白くないっす」


「ゆずとのあれは衝撃的だったしね、仕方ないですよ……」


 ぼそっと小口を叩いた四葉だったがぼくはそれを僕はそれを逃がさない。

 ——てか、四葉はこっちの味方じゃないのか……?


「聞こえてるぞ」


「っう、でも印象的だったのは確か……に」


「そうか、僕のやられようは印象的だったかぁ……」


「い、いや、それはその……」


 明らかに動揺している彼女を前に僕は揶揄うことに決める。おどおどと俯く彼女を見つめると、隣の椎奈と崎島先輩は微笑を浮かべていた。


「さては——四葉、あの時一緒に笑っていたな?」


「っ!? し、ししし、しません! そんなことっ!!」


「本当かぁ~~?」


 よろけ方はとても可愛かった。

 

 比喩の表し様もないほどに純粋な四葉の動揺を見て、僕の心は温まる。一瞬、自分はサイコパスか何かなのかと疑問を抱いたが、その赤い頬を見ればひとたび、動きが止まって虜になってしまった。


「……ぁ」


「そ、そんな、わけ……」


 涙目で呟く彼女、数分に亘って見つめていたが僕の視線に気づいたのか震えが増していた。さすがにやり過ぎたと思い、焦って訂正すると四葉は「ひどぃ」と一言言って部室に入るまで口を聞いてくれなかった。

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