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第1話 好きな人

サブタイトルのつけかた変えてます(気分)

なん...だと...こいつ何言ってやがる。


 蓮は最上級であろう笑顔を晒していて、俺をいじって楽しんでいるのは誰の目にも明らかだった。


 文句を言おうにも、インタビューの受け答えをいい加減に流した自分に非がある。


 こんな考えをしている間に着々とステージ上の雰囲気が悪化する。まず彼女のいいところを言えない男なんて最低だ。凜華も困り顔を向けてきている。クラスではあまり見ない表情だから新鮮だ。可愛い。


 まずい、可愛い以外の単語が出てこなくなった。テンパると本当になにも出てこなくなる。可愛いのは事実だし間違っていることではない。問題はそれ以外を出さなきゃいけないことだ。


「あのー言われてますけどー」


 インタビュアー察して次の質問とかしてくれ。しないなら俺を消してくれ。冷や汗が全身に浮き出る。秋のはじめで多少涼しくなり、薄着をしてるはずなのに汗が止まらない。


「翔くん」


 凜華が小さく名前を呼んできた。助け船を出してくれるかと思ったがそうではないっぽい。まぁ、こんな美少女に名前呼ばれるだけで相当な応援だよな。


「悪い、短く言い過ぎた。長くは語らないのが粋だと思ったんだ。言葉にしない美しさってあるだろ」


 突然最前列の眼鏡が腹を抱えて呻きはじめた。


 ひと呼吸おくれて横の女装男子がうつぶせに倒れる。


 どうやら俺の頭は限界だったらしい。こんなことを口走ったのが信じられない。信じたくない。せめて二人以外のやつも笑ってくれ。目の前の質問者ドン引きやめて。


「翔くん、一緒に死にますか」


 状況によっては感動シーンの最初のセリフだろ。笑っていいのか悪いのか微妙な表情を凜華は向けてきている。


「凜華、俺はこれから生きられそうにない。後はなんとかしてくれ」


「仕方ないですね。私の好きな人は死人らしいです。」


 この後のステージでの記憶はない。



───



 場を持たせられずに死ぬかと思えば、自分から地雷を作ってその上にジャンプしたのが結果だ。


 我ながらダイナミックに死線をくぐり物に当たったと思う。


「花崎バカ姉とクソ弟はしめる必要がありそうだ。」


「あ、噂をすればなんとやらですね」


 今は2-5組にカフェ用の物資を運び、近くのあき教室で凜華とともに休んでいた。服装はいつも通りの制服だ。


 自分たちのクラスはいたって普通のカフェをやることになった。しかし、俺はクラスにいれない時間があった。そのためコンテストにでる旨を伝えると、空いた時間にものを運ぶだけでいいと言われた。クラスメイトの爆笑と一緒にな。


 クラスメイト達にはコンテスト参加による一時的な恋人関係を同時に説明していたので、仲は良好なはずだ。ヤバそうな人も息を潜めている。


 そこへ白々しい笑顔を浮かべたあの忌々しき姉弟が現れた。


「お前ら殴られたくなかったらなぁ...」


「先輩最高でした」

「橘、最高だった」


 どうやら殴られたいやつが増えたみたいだ。


 気付くと俺は神野の顔面を破り裂いていた。


「おい、橘なにすんだよ。せっかく作ってもらったお化け屋敷用のマスクなのに。あとで来ないと呪うからな」


「大丈夫ですよ、神野さん。そのフランケンシュタインのマスク、より怖くなりました」


「ならいいか」


 いやあっさりすぎる、俺が突っ込みたい。

 神野のせいで蓮を気にしてなかった。最も憤りをぶつけたい人物なんだけど。


「蓮、お前はその顔面を大切にするんだな」


 さすがに男いえども綺麗なものは傷つけずらい。


「蓮には甘過ぎない?もっといってやって。本当にさっきはごめんね」


 咲愛が上目遣いで、申し訳なさそうに話してきた。あざとい系だね間違いなく。怒りが上回っているので冷静に判断できる。


「あれは俺が自爆したのが原因だから...謝るために来てくれたのか?」


「違いますよ先輩」


 顔はやめて見えないところでも蹴ってやろうか。完全に陰湿な後輩いじめだ。いじめられてるのは俺の気もするけど。

 せめて謝りにきたと言ってさ、この怒りをなくさせてくれ。


「先輩が文化祭初日の午後を絶望してすごすのを見たくて」


「ごめんな、俺は怒りを超越すると相手の頬をつねるらしい。」


 両手で蓮の左右の頬をつまんでしまった。男のほっぺたなのにとても柔らかいな。


「えっ先輩、なにするんですふぁ」


「可愛い」


 自然と口からでてしまった。さっきから頭の中で連呼していたからだろう。


「ちょっ、翔くん。そういうのは恋人以外に言うもんじゃないでしょ!」


 凜華がいきなり脇腹をどついてきた。全く痛くない。


「凜華、恋人関係はコンテストのためだろう?もう終わったし気にしなくてもいいぞ。本当に気にしないでコンテストなんか忘れて、本当に。」


「わたし、いつまでなんて言ってません」


 顔を紅潮させた凜華から強めに返された。

 えっと、はっきりコンテストに参加するためだって言ってたよな。確かにいつまでとは決めてなかったけど。そもそも俺と付き合う理由なんて残されてないはずだ。


 あき教室に沈黙がうまれる。


「思い出した!さっき『好きな人』って言ってたよね」


 沈黙を破ったのは少し前から難しい顔をしていた咲愛だった。

やっとラブコメっぽくなってきた?


毎日更新を目指しております。


更新時間は平日20時過ぎ、土日祝18時あたりを予定していますので、応援していただける方は感想や評価をお願いいたします。

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