第1話 放課後わたしのところに来てください!
処女作となります。
文章表現などで拙い点が多いこと、文字数が少ないこと重ねてご容赦ください
「放課後わたしのところに来てください!」
顔を真っ赤にして清水 凜華は言った。
正しく着こなされた制服に身を包み、漆黒の長髪をなびかせ、彼女は俺の目の前に立っている。
整った顔立ちで大きな瞳。多くの人から好かれる人間性をもち、身長は並みほどだがスタイルは抜群。美人と聞かれたのならば、誰しもが彼女を思い出さずにはいられない存在。
そんな彼女が教室のど真ん中、加えて大声でそんなことを言い放ってしまったのだから、クラス中の標的になるのは当然のことだった。
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「あれから4時間たってもこの恐怖が癒えねぇ」
4時間前、正午過ぎのこと。いままで仲間だと思っていたクラスの男子達が手のひらを返し、ちまちまと築いた関係が崩れ去る静寂と騒音が巻き起こった。怖すぎる。
といってもクラスメイトは根が優しい人がほとんどなので、半ば冗談でだろう。血相変えて迫ってきた人もいたのが問題だったが。それでも多を敵にまわすのはやめた方がいいと実感できた。かの主人公みたいに世界を敵にまわすなんて出来っこない。
「すみません、もっと注意して発言すべきでしたね」
彼女は薄く笑みを浮かべている。さっきのことなど軽く流しているらしいがこっちの身にもなって欲しい。
彼女こと清水凜華。その完璧な容姿から近付き難い印象なのだが、周囲の人と分け隔てなく話していたり、誰かのしょうもない悪ノリに乗ってあげるなど、俺から見た感じはとても親しみやすそうな人だ。悪ノリ好きの身としては共感できるところだった。
今はクラスメイトをなんとか振り切って、人気の少ない3階西端の廊下にきている。昇降口は東側にあり、こちらには人がほぼこない。
俺と凜華は2年5組なので一階分上にあたるのだが、俺にとってはいつものことなので無意識的にここに来てしまった。
「えーと...俺を呼んだ理由って?」
他のことに発言する必要が多すぎて、結局自分が呼ばれた理由をききそびれてしまっていた。悠長に話している隙もなくツッコミが入ったからな。
「そうでした。実は面白い部活があるとお聞きしまして」
凜華は軽く手を合わせると表裏がない笑顔を向けてくる。美人には棘がありそうだけど、全く悪意とかはなさそうだ。関わっていくうちに本性は見えてくるかもしれない。
「翔さんに協力して欲しいことがあるんです」
教室での勘違い発言(主に勘違いしたのは部外者)で少しは期待してしまっていたが、こういった呼び出しはよくあることだ。彼女の言っている通り、俺は変わった部に所属している。その関係で呼ばれる機会は多い。
さて、部としての案件となると、あの場所にいく必要があるな。
「この場所で名前呼びはちょっと新鮮だな。要件があるならこっち」
俺はほんの気持ちだけ顎で先を示す。そこは「HCB部室」と名付けられた教室があった。全体的に薄汚れており、校舎の中で最も端にあるため存在を知っている人も少ないだろう。
何故か教室の窓には色とりどりの紙が貼り付けられ、外から中が見えないようになっていた。
「なんですかここ?」
当然、凜華はなにも知っているわけがなく疑問を浮かべている。
「HCB」
扉の上についている何て呼ぶか分からない板にはしっかりとその3文字が刻まれており、それをそのまま気だるそうに読む。
勿論この意味がわからなくて質問がきたのは理解しているが、あんまり素直に教えたくもない。こういうところが初対面の人からよく思われない原因なのだろうか。
呆気にとられた凜華を後ろに、俺はなにも言わず教室の扉を開ける。
「遅いぞ橘、なんと依頼人つきと。さては神の思し召しを御所望か?」
そこには、キザな眼鏡をかけた神野真也が傲慢に腰かけていた。
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