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第3話 解決策

評価をいただきました!

皆様の応援によって大変モチベーションなっております、本当にありがとうございます。

 あいつ、と言うよりは先頭一帯の人達、完全に死にましたね。俺はなにも知らない。


 あの視線がこちらに指さっていた場合を想像してみると、いまにも凍え死にしそうなまで冷たい。


 そして状況を最も悪化させているのは、彼らが凜華の存在に気付いていないことだ。盛り上がっていて視界が狭くなっている。

 同性として助けたい気はないこともないが、助けたら助けたで俺も殺されそうだ。


「僕は視力の悪さを恨むぞ、目がよければしっかり見えるのに」


 神野はマスクを顔一面につけているため、眼鏡はしていない。マスクの上からつけても問題はなさそうなのに、変な拘りでもあるのだろうか。


 寒い、どんどん寒くなっていく。蔑まれることに抵抗がない彼でも、ここまで鋭いと正気ではいれないはずだ。早く気づけ。


「凜華さん、氷結魔法でも使えるタイプの魔女なんですか?」


「ボクも気分が悪いと思っていたが、清水さんがやっていたのか?」


「ただのコスプレですよ」


 こういう流れのとき、決まってノってくる彼女がマジレスしてくるとは相当ヤバい状況みたいだ。


 楓の追い込まれた顔と、凜華の作り笑顔を見比べて、両親、仏様、神様、と他のお顔を思い浮かべた。自称神によって俺の安泰を完全に壊されてるわけだが。


「とにかく、楓それ止めろ」


「...ここまできて引くことは出来ない」


 といいつつゆっくり包帯を引いている。もう止めてるのと変わりない。

 こいつも言うこと聞かないよな。会長なんだからもっと責任をもって欲しい。


「じゃぁ零先輩、止めてもらえませんかね?」


「残念だが、翔の言うことには従えない」


 だろうね。そうじゃなかったら、『じゃぁ』なんかで話しかけませんから。


 本当に困った。俺が零先輩に近づいて何をしようとも自分の信頼を失う。それができないからと楓や零先輩に言ったとしても、聞いてはくれない。凜華はまず話しかけたくない。


 恐る恐る凜華を見るが、両拳を身体のよこで握りしめて、ぎこちない笑顔をつけている。


 壇上はほぼ詰みか。...そうだ、中村どこいった?周りを見ても彼の姿は一向にみつからない。


「あーマイクテストー...大丈夫みたいだな。翔、俺たちは外でパレードでもしてくるから、じゃぁな」


 ぞろぞろと過半数、もっと言うと前方の集団と一部を残してみんな体育館を出ていく。


「声的に中村君か。これは状況の好転とみていいのかな」


「常識人がいなくなったので、事実がねじ曲げられるだけになりそうだな」


 最悪、俺が先輩を脱がしたとして広まりかねない。前回の集会で身に染みてるからな。なんで俺だけ何回も呼び出されるんだ。


「ひとまず、彼らを帰らせる。包帯でも巻き直しててくれ」


「了解だ橘君。みんな居なくなったら完全に脱がす」


「何事もやりきる方向が間違ってる...」


 帰らせると言い切ってみたのだが、彼らが素直に出ていってくれるとは思えない。まずは協力者が欲しい。


「神野、お前らが作った友情とやらを使って、この場から全員で立ち去れ」


「それは無理な相談だな、僕たちは何があろうとここを離れない。そうだろ?」


「「「おう!」」」


 人数にして10人ほどなのだが、血気盛んな男たちがここまで結束すると気迫がすごい。気負いしてしまう。


 男たちによってあつくなると思いきや、また体感気温が下がった。寒さの原因である彼女に頼むしかないのか、手違いで殴られそうだ。


「り、凜華さん。彼らをどかすのを手伝って貰えませんか?」


「そうですね翔さん。わたしも同じ思いです」


 そう話しているうちに神野が鼻をならした。


「そこの彼女に頼んだくらいで、僕たちが簡単にいなくな...」


 やっと凜華に気付いたらしい。

 どれだけ視野が狭くなっていたか気になるところだ。


「皆さん、ワタクシと男子トイレに向かいましょう」


 突如、体育館中央から豪華なドレスを着た女性が現れた。彼女、男子トイレいこうって言ってなかったか?

 彼女は藍色の長く艶やかなドレスに身をつつみ、ヒールをはいているように見える。どうみても女性だと思うのだが、距離もあるためはっきりは分からない。


「えい!ふふん、ビックリした?ちょっと様子がみたくてさ」


 急に背中を叩かれ振り替えると、そこには今日一回も見かけなかった花崎咲愛がいた。


 彼らに声をかけた『女性』の正体に見当がついた気がした。

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