第2話 尻に敷かれる
文字数少ないです、すみません
「ボクの近くに来てもらおうか」
楓はこちらを見つめている。強行手段とか言ってたのに任意の行動を要求してくるのか、逆になにをされるか分からないな。
「はやく、してくれよ」
楓はうつむきながら俺を待っている。言葉づかいが強いので素直にしたがった方がいいだろう。
「わかりました」
自然と敬語がでた。
楓は新生徒会長なので同じく2年だろうが、会長だし馴れ馴れしくするのも気がひけた。馴れ合う気はないとか言われちゃってるし。
俺は楓に近づいていく。さっきまで暗くてよく見えなかったが、今は明るすぎて見えずらい。変な緊張もあるので転びそうだ。
「素直じゃないか、ならボクの前に座ってくれ」
『座ってくれ』か、さっきから強行手段の1文字もないな。まぁ従うけどさ。
俺は楓を背にしてあぐらをかいた。
「いいだろう、恐れおののくがいい」
声が聞こえた直後、俺の背中を柔らかい感触が包み込んだ。そのまま前に倒される。足はあぐらのままで、背中の上に自分の体重並みの重さがのし掛かっている。
「どうだボクの尻に敷かれた気持ちは?」
「...正座しとけばよかった」
声を出すのもやっとだ。足が押し潰されて悲鳴をあげている。いまの状況を把握はできているが楽しむ余裕なんてない。踏まれたいとか言う人の気持ちがますます分からなくなった。
「たーちーばーなーかーわーれー」
放送が急に入った。発信源は管理室からである。そういえば、踏まれたいとかいう人が派遣されてたな。
「くっ尻に、敷くってのはな...こういう意味じゃ」
「勿論、知っているとも」
わざとやってるのか。このままでは本当に体が壊れそうだ。とても地味な画なのに辛さが途轍もない。
「いったい俺達は何をみせられてるんだーだってよ」
首だけを回して体の隙間から見ると、中村がステージの側に来ていた。全校生徒の思いを代弁しているのだろう。
「助けて」
中村の後ろに広がっているあなた達にも言ってるんですよ。誰かは動こうよ、みんなが選んだ生徒会長が暴走してるんだよ。中村、お前笑ってるだけとかじゃないだろうな。
呼吸がつらい。顔色も相当悪くなっていると思う。俺を痛め付けている当事者は、俺の顔が見えないのでいつまでもやりそうだ。
「先生達もそろそろ動くみたいですよ、会長このあたりにしましょう」
「そうだね中村君」
すぐに俺のからだが解放された。
いろいろと問いただしたいが、体のダメージがでかすぎる。すぐに動いたり、声をだすのもきつい。なんかこうやって人をいたぶるの慣れてないか?
「悪かったね、不満だろうが少し静かにしてもらいたい」
うつ伏せに倒れている俺に対して、楓が優しく声をかけてきた。正直、会長はどうでもいい。
「中村、ちょっといいか」
「すまん翔、これから生徒会の演説だ」
零先輩と校長がとぼとぼと寄ってきた。しかし、話しかけてくるわけではないようだ。とりあえず励ましにきたのかもしれない。
楓が優雅な足取りで演台の前にたった。
「ボクはこのような反学校政府も簡単に潰すことができる生徒会長だ。信頼していただけるかな?」
こんなの俺にとっては恐怖政治でしかない。
「実はな、夏休みあけから生徒会手伝ってんだよ」
中村が不適な笑みを向けてきていた。
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