第2話 会議
「なんでまたいるんですか?」
「...」
彼女は目を大きく開けて見下してきている。モード:ホラーだな。月曜になって予感していたことだがこうして見ると、やっぱり慣れないものだ。
「君は私をどうしてくれるんだ?」
「モードの違いがでけぇ」
その一段一段余韻を残して降りてくるの流行ってるのか。
「恐怖を与えたいなら、四足歩行でもすればいいじゃないですか」
「そうなんだ、私は柔軟性がない」
「意外ですね、運動神経とか良さそうなのに」
しれっと通常モード(?)に戻ったな。どっちが通常なのかすら判断できないけど。
「君、からだをくねらせることは可能か?」
くねらせるって多少なら誰でもできるだろうが、聞きたいのはそんなことじゃないよな。
「はい、首の可動域はこれくらいですかね」
「素晴らしい。なんて滑らかな動きなんだ」
この人、肉体の常識も欠如してるみたいだ。こうやってみても綺麗な人だけに、とても残念。もっと内容もクールな感じだと違和感ないんだが、要所要所抜けてるんだよな。
「私はなぜか首が素直に動かなくてな、その時みつけたのがこの映画だったのだ」
彼女が差し出してきた一枚のチラシ。折り目がいくつもついており、所々破れそうになっている。持ち主が何回も見たことは明確だった。
この映画、恐らく幽霊とかした人物が襲ってきたりするのだろう。チラシの中央にはいかにもなものがある。
「この者に親近感が湧いてきて、真似せずにはいられなくなってしまった」
いろいろと話をしているとだんだん彼女のことが分かってきた。
まず、名前は新沼零。首がどうかと言ってたが、頭だけ振り向くという考えがなかっただけらしい。その後、ギギギと聞こえてきそうなやり方を真似していたため、その名残が多少残っているみたいだ。
零先輩はミディアムヘアだが、走るときはポニテにまとめていた。極限まで伸ばしたいんだけど重いのも嫌ならしい。変な趣味をもってるのに、根は運動系なのだろう。
「そんな零先輩がなにしたいんですか」
結局彼女のことはわかったが目的がわからない。俺達に走らせた理由もわからずじまいだ。体力が欲しい理由と言ったほうが正しいか。
あと、階段の終着点で狂ったように待機して何になるんだ?同志を集める、または増やすだけに行動してるとは到底思えなかった。
「実はな、私は校長に顔が利く。心配するな」
いやいや、いきなり何言い始めるんだよ。顔が利くのはいいな。俺は部員二人の部活を残すために、肉体労働で媚売ってるから。自分が惨めに思えてきた。
「頭のおかしいお二人、西階段でなにを悪巧みしている?」
若干調子にのって神野がやってきた。一昨日のことなど忘れたみたいだ。俺達二人とも惨めなのか。
「そうだな、私自信について相当話したが君たちのことは知らないままだったな」
「俺は橘、こいつは神野。どんな奴らかはだいたい分かっているでしょう?」
とくに隠すようなことでもないし正直に教える。
「名前なんかどうでもいい。何組だ?」
あなたの名前を知るのに結構大変だったんですが。普通にショックだ。
「5組と」
「2組」
「上等だ。さっそく配置について議論といこう」
配置?良からぬ妄想ばっかりが膨らんでいく。
「進行は私が執り行う。では第一回全校集会襲撃作戦の会議を始めよう」
冗談じゃない目をして言い切られた。
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