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空気が読めない空気魔法使い  作者: 西獅子氏
第二章 フルート村編
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短編 下らない漫才

今日は「あかりの日」だと聞いたので急遽、追加投稿。

本編には一切関係ないので読まなくても構いません。

 闇と静寂が支配する会場で、唯一照らされるは一つの鹿威し。

 否、鹿威しの形をしたマイクである。

 マイクであるシッシーは只、待ち続けていた。



 そう、奴等が現れるのを……!



「クラウスです……」


「明です!

 二人合わせて…………何?」


「いや、コンビ名は決めておけよ!」



 今、歴史に残る漫才が始まる!



 ――――――



「コンビとして横に立つ俺が言うのも変だよ。

 だが言わせてもらう。

 決めておけよ!コンビ名は決めておけよ!」


「ショートコント、宇宙ステーション。

『シュコー』」


「待て待て待て!

 いや『シュコー』じゃねぇよ!

 何で俺の話をガン無視してショートコント始めようとしてるんだよ!

 今のは、コンビ名をテーマにした漫才が始まる流れだっただろ!

 あと宇宙ステーションis何!?」


「宇宙ステーションって言うのは、宇宙空間で様々な実験を――」


「悪かった!聞いた俺が悪かった!

 宇宙ステーションに関しては後にしよう、な?

 今は漫才を続けようぜ?」


「やれやれ、仕方ねぇなぁ。

 そこまで言うなら漫才をしてあげますか……っと」


「あれぇ?態度悪くない?

 俺、吃驚(びっくり)しちゃった。この子、何しに舞台に上がってるの?」


「じゃあ、コンビ名は《明とクラウス》で。

 ショートコント、宇宙ステーション『シュコー』」


「へい、お嬢さん!HEY!HEY!

 そんなにショートコント宇宙ステーションがやりたかった?

 なんか付き合わせちゃってごめんな?

 でも考えようよ。

 ここまで来たら、ちゃんとしたコンビ名考えるしか道はねぇんだ」


「コンビ名なら、二人の共通点から考えてみる?」


「急にやる気出すじゃん……でもありがとう」



「そうだなぁ……()間魔法と()気魔法使いだから《(そら)》なんてどう?」


「良いねえ空!

 ――を飛べる者と飛べない者……」


「あれぇ?私、地雷踏んだ?

 空だけで反応するの、広範囲に仕掛け過ぎじゃない?」


「いいじゃねぇか。

 せっかくなら《空の覇者と地を這う蜥蜴》とかにするか」


「ごめんって!柄にもなく卑屈にならないでよ!

 ほら、別のコンビ名考えよう!」



「そうだなぁ、結界を破ったって意味で《結壊者》とかどうだ?」


「う~ん響きは人気漫画みたいで格好良いんだけど……

 結界を壊した訳じゃないし、人と人との結び付きまで壊しそうな感じがして嫌だなぁ」


「お互い只の血と肉の塊って意味で《血塊者》とかにするか?」


「もっと嫌だよ!

 なんで人って言葉を極限までグロテスクな表現にするんだよ!」



「意外と良い案が浮かばないなぁ」


「空……結界……そうだ!《太陽》なんてどう?」


「なかなか素敵な名前だが……

 いったい、どんな意味が込められてるんだ?」


「結界を抜けた時の様に、()()()()()、それに()を繋いで――」



(あか)るク()ラウス、って」



「良いじゃないか」


「でしょ?

 それでは私達のコンビ名は《太陽》と言う事で――」


「只なぁ……」


「なにさ」


()かい所だが、アカリのりが()に変わってる所と、クラウスの()が邪魔なのが気になるな」



「ええい、()()さい()やい!」



「「どうもありがとうございました!」」




 拍手の嵐はコンビの新たなスタートを祝福する様に、強く長く鳴り続けるのであった。



 ――――――



「――って言う夢を見たの」


「……それで?」


「人間に会ったら是非これを――」


「却下だ」


 今日も今日とて、退屈な空の旅は続く。

なんだこれ……


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