表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空気が読めない空気魔法使い  作者: 西獅子氏
第一章 龍の領域編
19/134

会わない方が良い

 軽快に『ゲート』を潜り、慣れ親しんだクラウスの家に帰ってくる。

 慣れ親しみ過ぎて、最早我が家と言っても過言ではない。


 あと、もう『ゲート』に関しては考えない事にした。

 あれは穴。分解も再構築もしてない。


「戦績はどうだった?」


「聞かないで……」


 留守番をしていたクラウスの言葉が突き刺さる。


 さて、私が一人で何処に行ってたかと言うと、テイラーの家である。

 先日クラウスが将棋を貢いでいたので、初心者のテイラーに明ちゃん自ら手解きをしてあげに行ったのだ。


 ……結果は惨敗。まさかの全敗。


 帰りは時間を決めておいて、クラウスが家から『ゲート』を出してくれると言う寸法だ。


 なんか預かり保育みたい。

 ……やっぱそれは嫌だから、送迎車って例えよう。


「研究者って皆あんなに頭良いの?」


 テイラーも里を追い出された研究者の一人である。

 服が専門ならクラウス程は賢くないと思っていたのだが。


「全員が全員って訳でもないが……比較的その傾向はあるな」


 天才も含めて〝変わり者〟って括りなのかな?

 才能があるのに評価されないのは悲しい。


 天才とはやはり孤独な生き物なのか。

 明ちゃんは日本に友達居るから幸運なのかもしれない。


 ……そう言えば、クラウスには友達が居ないんだよね。

 こんなに優しいんだし、切欠さえあれば友達は出来ると思う


 今友達が居ない原因は、飛べない事を馬鹿にする里の人側にある訳だし、私が里の人に話をつけて謝ってもらう方向に出来れば……


「……ねぇ、里ってどっちにある」


 私の質問にクラウスは少し不機嫌になる。


「それは念の為に教えないし、お前は会わない方が良いし、あいつらは謝らないし、俺は仮に謝られても仲良くするつもりはない」


 ……わーお。私の質問一つで全部お見通しだ。


「謝られても絶対に無理なの?」


「お前にとって謝罪がどれ程重要なのかはしらんが、里の奴等の謝罪なんぞに俺は全く価値を感じない」


 取り付く島も無い。

 クラウスにお友達大作戦編は始まる前から終了です。


「それに、お前は会わない方が良いんだ」


「会わない方が良い?」


 私が面倒事を引き起こすから()()()()()()()と言うのならわかる……いや、面倒事は引き起こさないけども。

 だが()()()()()()()()だと、私にとって不都合があるみたいな言い回しだ。


「もしかして、龍人って普通の人間を差別してたりする?」


 まず思い当たるのはこれだろう。

 悲しい事に、他人との些細な違いで見下したり蔑んだりする人は居る。龍になれるなんて大きな違いがあれば、そういった考えを持っててもおかしくない。

 ……と言うか、同じ龍人のクラウスへの扱いを考えたら、まずもって間違いないな。


「それも理由の一つだが、お前に限っては逆だ」


「逆?」


 逆と言うと、敬われたり崇められたりするのだろうか。

 普通の人間と明ちゃんの違い……美貌、頭脳、愛らしさ、他にも沢山思い付くが、人種差別を覆す程の要素と言われると謎だ。


「……龍が飛ぶ時は何魔法を使うか覚えてるか?」


 そりゃ勿論、風魔法と――


「あ、空気魔法だ!」


 この世界に来て一番大きく変わった所を忘れていたとは。


「空気魔法を扱えるのは、長の一族だけなんだ。

 だから空気魔法使いなら人間だろうと、巫女として長との婚姻って話になるだろうな」


 うげぇ……そういう望まない結婚展開は好きじゃない。

 ましてや自分がとなれば大反対でしかない。


 クラウスを差別してる様な相手と、私が結婚を望む可能性はゼロだ。


「……これでも里に行きたいなら止めないが――」


「普通の人間の場合、見下されるとして扱いどうなるの?」


「人間なんて前代未聞だからな……最悪監禁だな」


「末長くお世話になります」


 私はクラウスに綺麗なお辞儀を披露する。

 このまま此処で暮らしたい。


 そもそもクラウスが望まない時点で、私が里の人に会う理由は無いし、結婚か監禁の可能性があるなら尚更だ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ