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空気が読めない空気魔法使い  作者: 西獅子氏
第三章 セイヴィア男爵領編
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面は割れてない

「とにかく、誘拐事件の事は私が領兵に連絡しておくので、君達は人気のない所へは行かず、気を付けて帰る様に」


「はーい!」


「それと君は街中で大声を出さない様に」


「はい……」


 マグマに念を押して、衛兵さんは去っていった。


 やっと落ち着けたマグマは、冷めきったオムライスをかき込みながら告げる。


「モグモグ……まぁ、事件の事は領兵に任せて良いみたいだし、俺達は食べ終わったら帰っ――」


「よし、私が捜査するよ!」


 私がそう発言すると、突然マグマが()せる。


「グッ!……ゴホッゴホッ!

 お前、急に変なこと言うなよ!危うく喉に詰まる所だったわ!」


 何も変な事はないだろうに。

 喉に詰まるのは、よく噛んで食べないからだ。


「マグマを置いていったりはしないから、ゆっくり食べなよ」


「俺も巻き込む前提かよ!

 素人が首を突っ込むには危険すぎるだろ」


(うっ……)


 確かに大抵の人は「危ないから止めろ」と言うだろう。クラウスに知られたら怒られるのは間違いない。

 だが、ここまで首を突っ込んだ事件を放っておく事は出来ない。

 それに、クラウスが帰ってくるまでに解決してしまえばバレる事もない筈。だからマグマを早く説得して捜査を始めねば。


「……私とマグマは誘拐を阻止したし、もう十分に恨みを買ってるよ。

 それに、ユウカちゃんとメロディが狙われた理由もわからないんだから、放っておいたらまた狙われちゃうかもしれないよ」


「それは確かにそうだが――」


「もうね、さっさと解決しないと私達に平穏はやってこないんだよ」


「成る程……」


 私お得意の嘘から出た真面(まとも)だ。

 正直、犯人(ホシ)()すら(割れ)てないし、私達が狙われる様な事なんて恐らく起こらないだろう。

 マグマを巻き込んでしまうのは悪い気もするが、私達はもう誘拐事件の当事者なのだ。一蓮托生ソウルメイトって事で夜露死苦☆


「大丈夫、捜査の基本は頭に叩き込んであるから。

 明お姉ちゃんにお任せだよ!」


 刑事ドラマや探偵漫画は沢山見てきたのだ。

 その辺りの抜かりはない。


「アカリお姉ちゃん……!」


 胸を叩いてポーズを決めた私を、ユウカちゃんは目をキラキラさせて見ている。

 尊敬の眼差しと言うのは、やはり気持ちのいいものだ。


「さて、マグマは私に付いてくるとして……」


「あ、もう本当に決定事項なんだな」


「二人はどうする?

 お家に帰りたければ送っていくよ?」


 嫌がる年下を無理やり連れ回す趣味は私にはない。

 二人の希望次第では捜査の前に送り届け様と思ったのだが――


「あの、今日はパパもママも帰りが遅いので……一緒に居ても良いですか?」


 潤んだ瞳でお願いしてくるユウカちゃん。

 彼女を安心させる為にも早く事件を解決せねば。


「私も付いて行くわ。

 ……アカリと言ったかしら?貴女と居ると面白いもの」


「面白いって……」


 さっきまで拐われそうだったのに、メロディはそんな事を言ってのける。

 落ち着いてるのは良いけれど、流石に危機感が無さすぎて心配だ。これは私が付いてあげないと駄目だ。


「それじゃ、出発だよ!」


 かくして会計を済ませた私達は、捜査の為に街へと繰り出したのであった。



「特製オムライス四人前で、四千八百M(マネー)になります」


「いや、高っ!」



 ――――――



 アカリ達を陰から見ている男が()人。


「あれが例の邪魔者か?」


 三人の内、二人は件の誘拐犯だが、この男は違う。

 誘拐犯達が連れてきた助っ人だ。


「ああ、顔を見られた可能性がある」


 アカリ達はローブに隠された誘拐犯の顔は見ていない。

 だが、誘拐犯達はそれを知らないのだ。


「男の方は新人潰しのマグマだ。弱いと噂だし、実際に俺の一発で軽くのしてやったぜ」


「だが、女の方の正体は不明だ。

 使う魔法も奇怪で訳がわからない」


 助っ人に事情を説明する誘拐犯達。

 アカリと言う()()への警戒を促すが、助っ人の男は首を横に振る。



「いいや、俺はあの女を()()()()()




 (まこと)の危険に晒されている事を、明達は知らなかった……

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