一話目 目覚め
「ん...はっ!え?俺生きてる?てかここどこ...ってあ、頭が痛ぇ!!」
頭痛と共にたくさんの情報が頭に流れ込んでくる。
高速で頭をよぎる見に覚えのない記憶を刻み込まれ、新感覚の痛みに転げ回る。
まだ痛みの残る頭を抑えながらも最後の方に流れてきた記憶の通りのベッドから体を起こす。
やはりなぜか記憶にある部屋を見渡しながら今置かれている状況がおおよそは掴めてきた。
まず簡単に、少なくとも当たっているといえる事は特に2つ。
1つ目、ここはまさかのあのクソゲーの世界に非常に似かよっている世界で、今は俺にとって中学校の入学式の前日の朝だという事。
...ゲーム開始は確か高校の入学式からだったから大体その3年前という事になるな。
2つ目、俺はどのシナリオでも序盤で確実に死ぬ事になる、ほとんど名前しか出てこない、沢渡 空雨というモブの男キャラに憑依?か転生?していて、今の俺の状態は死ぬ前の俺に空雨の記憶がある状態だという事。
つまり、意識は死んだ俺がメインで、空雨の記憶や身体とかをそのままもらったって感じだな。...なんか変な感じだな
俺はかなりの衝撃を受けてしばらく呆然としていたが、1番驚いたのが、空雨の衝撃的すぎる過去だった。
...空雨の過去をおおざっぱに言うと、まず、自身のもつ特殊な異能のせいで、6歳くらいの時に家族は空雨の異能に目を付けた神統教の奴らに殺される。んで空雨は拉致られて非人道的な実験のモルモットにされる。そして大体4年後、精神的にも肉体的にも死にかけの状態の空雨をとある人物に助けられ、2年近くの療養、リハビリの末前日やっとまともに動けるようになったってとこか...
...ちょっとツッコミ要素多過ぎてなんも言えない。
え?過去重くない??よくこれ生きてたな...
なんで序盤の最初しか出てこないモブキャラにこんな重い過去があるんだよ!これだけ設定あったならもっと出番増やせよ!生きられるルート作ってやれよ!
そう心の中で叫び、またベッドに寝転がる。
あんなグロすぎる光景を見たら死ぬ前の俺だったら間違い無く吐くか失神とかしてた。なのに思い出しても何も感じないってことは"慣れ"ちゃってるな...
そういやゲームしてた時男はほとんどストーリー中出て来なかったからあんま覚えてないが確か目が死んでたな。
元からそういうキャラなのかと思ったがあの実験とかのせいだったのか。
いやぁまさか俺が通り魔に刺されて死に、その後ちょっと前までやってたゲームのモブになるなんて思いもしなかったなぁ...
...さて、これからどうしようか?