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陸:成長

 その後、周貴人と久方ぶりの会話を楽しんだ央晧は周貴人の宮を後にした。

 貴人から李梓の話が聞きたいと言われた時は、相当饒舌だったと言う。従甥が楽しそうに話すのを見て、周貴人にも央晧が李梓に心を許しているのがひしひしと伝わった。


 英慶宮への道すがら、聞き慣れた女性の声に振り返ると、異母姉と李梓こと楊武が並んで歩いていた。


「姉上……と李師父(しふ)ではありませんか。今お帰りですか?」


 楊武が今日、遼煌と会うことは央晧も承知済みであった。まさか後宮内で出会うとは思ってもみなかったが。


「え、央晧!? 声変わりしてるの!?」


 最後に会った時はまだ甲高い声を発していた異母弟の変化に遼煌はぎょっとした。


「ええ、お陰様で背も随分伸びましたよ」

「や、やだあ……。私より高くなってるじゃない」


 自身の背と央晧の背を手で比べる。いつの間にか頭一つ分に近い、明らかな身長差が開いていた。


「まあ、驚きはともかく……。央晧、李君をお返しするわ」

「楽しかったです。ありがとうございました」


 遼煌が楊武の背中を押すと、楊武は振り返ってお辞儀した。央晧の方に向き直ると傍へ寄った。


「ただいま戻りました」

「お疲れ様です、李師父(しふ)


 宮女たちの居る手前、央晧は模範的な皇太子を演じている。楊武はそんな央晧にもすぐに対応できるようになっていた。


 微笑む二人を見て、対面する遼煌が顔を顰めた。


「姉上? どうされました?」


 いち早く気付いた央晧が尋ねると、予想外の返事が返ってきた。


「あんたたち、背丈似てきたわね……?」


 後ろから見たら気付けないわ。遼煌が二人の顔を交互に見て何度も頷く。傍で控えていた博麗も思わず感嘆の声を漏らしていた。


「今だけですよ。いずれは李師父(しふ)の背を超えますので」

「そうですね。太子のご成長っぷりを見るに、拙はすぐに抜かされると思います」


 ――多分、そこは否定してほしかったんじゃないかしら。


 遼煌は一瞬だけ顔を顰めた央晧を見て思った。しかし、異母弟の楽しそうに会話をしている様子を見ることができただけで、遼煌は大収穫だと満足していた。


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