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ドルオタ部屋編4

「ただいま~、きららちゃ~~~ん☆」


 そこにあったのは顔、顔、顔!!

 ポスターは四方だけでなく天井と地面にも隙間なく設置、更にはカーテンにも顔がプリントされており、置時計・クッション・枕、ありとあらゆる場所に同じ女の子の顔が並んでいる。


 これが、きららちゃん?


 このアイドルは無限増殖が特技なの?

 それとも影分身の術が使えるの?


「やっぱりこの部屋は落ち着く! 移動して大正解!!」


 あー、そういう事ね。

 ついさっきまで意識してたけど、この部屋で間違いは絶対に起きない。

 てゆーか他の女がズラーーっと並んだ空間でとか絶対に無理。


「どうかな見守? 僕の部屋?」

「うん、ビックリしちゃった。凄いね」

「だろ!」


「だから燃やさなきゃだね」(ニッコリ)


「何で!?」

「何事にも限度がある!! 固城はこの部屋に居て何も感じないの!?」


 この指摘に、固城が自分の部屋をマジマジと見回した後、



「これだけのきららちゃんに囲まれて、実質これはもうきららちゃんのナカに居るのと同義なのぼばっ!!!」



「ごめんなさい滑った手に鈍器を握り忘れたわ。あとちょっと黙ってて、今通販で即日発送の火炎放射器がないか検索中だから」

「あるの!?」

「あっ、この草焼きバーナーよくない? 綺麗に草焼きできるみたいで、きっとこの部屋も綺麗に焼き払ってくれるわ」

「駄目っ! きららちゃん燃やしちゃ駄目!!」

「五月蝿い! きららちゃんを燃やすか、固城を燃やすか、好きな方を選びなさい!!」


 覚悟していたけど、これ程とは。


 そしてきららちゃんと初対面?だけど、思いのほか普通の女の子かな? 確かに可愛いとは思うけど、私と圧倒的な差があるとは思えないし、等身大パネルと比べて私よりも背が低くて、体型も私の方が細い気がする。


 ………胸はすっごい大きいけどね。


「とにかく全部しまえとは言わないけど、ポスターは2・3枚にしなさい! 適度にローテーションすればいいでしょう!」

「そんなっ!? こうして万遍なく飾った方が色んなきららちゃんに何時でも会えるか…」

「あっ、机にハサミ発見。借りていい?」

「分かった! 今すぐ外しますので少々お待ちを!!」


 こうして模様替えが強制スタートとなり、私も手伝って8割のきららちゃんを排除、まだまだオタク部屋だけど、人類が踏み入れるレベルにまで浄化されただろう。


「休憩しよう見守、今更だけどメロンを」

「そうね、私も疲れた」


 そうして一緒に麦茶を飲み干し、メロンを食べようとしたんだけど、


「フォークがない」

「あれ? 忘れた? ごめん見守、じゃあこのフォーク使って」

「うん、ありが…、ん? フォークの柄に何かの絵が…」



 きららちゃんの顔

 (※「はい、あーん」の文字入り)



「真似しなきゃだね。はい、あーん」

「待って! 僕の口はもっと下でそこ眉間!!!」


 そんなこんなでメロンを食べ終えた後、固城が私にハンカチを差し出してくる。


「見守、口元ちょっと汚れてる」

「うっ、そういう注意はもっとさり気なく…、ひっ!!」


 口元を拭いていたハンカチと目が合うという有り得ない事態に驚いた後、恐る恐る固城から渡されたハンカチを広げてみると、



 きららちゃんの顔

 (※ドアップの顔プリント)


 ヘブシッ!!

 (全力で固城の鼻に手を滑らせる)



「あっ、鼻血が出てる。拭いてあげるね」

「ああっ! きららちゃんの顔が血塗れに!!」


 どんだけきららちゃん潜伏してるのよ!!


 どうやら掃除が不十分だった様なので聖水(浄化アイテム)をぶちまけてやろうとしたら、妙に固城がソワソワしている事に気付いて、こんな質問をされてしまった。



「きららちゃんのファン、続けてもいいでしょうか?」



「急に何?」

「いや、だって僕は見守の彼氏になって、勿論それは嬉しいけど、そうなった以上、この趣味はどうなのかな~って…」

「別にいいけど」

「軽っ! めっちゃ結構勇気を出して聞いたのに!」

「だって趣味でしょ。私の友達にも男性アイドルファンいるし、大切なのはマナーと限度を守る事で、それが出来ないならリア充っぽい趣味でもアウトよね? 第一、私は人の趣味にあれこれ指図って嫌いだから」

「み、見守……」


 何で固城は感極まってるの?

 これって当たり前の事よね?



「ありがとう見守!! これからは全てを包み隠さず、積極的にきららちゃんの魅力を声高らかに公言…」



「気持ち悪いから絶対に駄目!!!」

「………………………あるぇ???」

 草焼きバーナーは安いのもありますが、大体1~2万くらいです。

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