ドルオタ部屋編1
「おはよう皆さん。では朝のホームルームを始めます。なお固城君は病欠と連絡がありましたが、他に居ない人は…」
ガタン!!!
先生が喋り終わる前に見守が突然起立。誰もが優等生と認識している見守の奇行に生徒だけでなく先生までもが驚きを見せる。
「見守さん、どうかしたのかね? ………見守さん?」
先生の問い掛けに無反応。それもそのはず見守には一切聞こえておらずで、途轍もない衝動で爆発寸前になっているのだ。
あの野郎! ヘタレやがった!!!
あの告白は金曜の放課後で、固城の連絡先を知らないせいで悶々とベッドの上でのた打ち回るだけの無駄な休日となり、病院に行こうと妹に心配される有様だ。そうして迎えた月曜の朝、数年ぶりの早朝散歩をした後にコーヒーガブ飲みで眠気を払拭、一番に到着した教室内でそわそわ待ち続けた結果がこれだ。
私がどんな思いで今日、どれだけの勇気を振り絞って登校したと思ってるの!!!
「あの、見守さん?」
恐る恐るな声で尋ねる先生(雑音)に気付いた見守がギロッ!とコンマ数秒だけ殺意剥き出しで睨んで怯ませた後、いつも通りの笑顔で喋りだす。
「ごめんなさい先生。急用が出来たので早退させていただきます」
そうして先生の返答を待たずに帰り支度スタート。ずーーーーっと満面の笑みをキープし続ける光景に誰1人としてこの清々しいまでの暴挙に異議を唱える者はなく、静寂に支配された教室を見守が退室した瞬間、
ドガッ!!!!
廊下から壁を蹴る音がクラス内に響き渡った後、見守は去っていきました。
なおクラスでは何事もなかったかの様に先生が朝のホームルームを続行、これにも異議を唱える者はなく、2年A組の1日が始まったのである。
◇ ◇ ◇
許さない! 許さない! 許さない!
許さない! 許さない! 許さない!
前にこっそり入手した固城家の住所を地図アプリでロックオン、これで本丸が明らかとなり、後は恙なく攻め滅ぼすだけだ。途中でお見舞いの品を購入した後、固城家のインターホンを鳴らす。
「はい、どちら様ですか?」
「来ちゃったー(殺)」
「ちょっ! その声は見守!? 何で!?」
「うふふふふ、大切な彼氏が病気なら、やっぱり看病に来なきゃだよね~」
「怖い!! その優しさに満ち溢れた声が余計に怖い!!!」
ガチャガチャガチャガチャガチャ!
そうしてドアノブからけたたましい音が響き渡り、固城を戦慄させる。
「ね~、早く開けてよ~」
「大丈夫!? 開けた瞬間GAMEOVERにならないよね!?」
「……………」
「何で無言!? やっぱり殺っちゃうの!?」
その後も見守は無言を貫き、固城が戦々恐々と玄関に近づく。
「開けるよ? ちゃんと開けるから暴れないでね?」
「……………」
「落ち着いたんだよね? 開けた瞬間、強制死亡イベントにならないよね?」
そうしてゆっくりと手を伸ばし、鍵を解除しようとしたら、
ポン(後ろから優しく肩を掴まれる)
…………………………おかしい。
父は会社・母はパートで家には僕しかいない筈なのに、この手は一体?
ガタガタと震えっぱなしな心を奮い立たせ、意を決して振り向いてみると、
み ぃ ~ つ け た
「ぎゃあああああああああああ!!!!!」