姉妹の晩餐 2
「ユウ姉って、最近困ってたりする?」
「え? いや、あんまり?」
予想外な質問に生返事で回答。
固城の扱いに困ってないと言えば嘘になるけど、根は素直で順応だし、暴走するのも偶に……、いや時々? それともかなり?
「……………訂正。少し困ってるかも」
「やっぱり! じゃあ事件もあった?」
「え? 何で事件???」
前のめりに畳み掛ける美雲を制して思案。確かに固城と一緒は事件の連続だけど、事件というレベルでは無い筈で、あーでも私が勢いで告白しちゃったアレは事件と言えなくもない。
掃除から戻ると机で眠る固城を発見して、
起こす前に何となく寝顔を見つめて、
一緒の写真をこっそりスマホで撮って、
そこから怒涛の展開からの告白になっちゃって………。
ぼんっ!!!
あの日のドキドキに襲われて顔が真っ赤になってしまい、それを見逃さなかった美雲の表情が確信めいたものに変わる。
くっ、こんな誘導尋問があったなんて。
最初に無関係と思える質問で油断させてからの本命攻撃とは、これはもう白状するしかないと覚悟を決めると、
「お姉ちゃん、相手の方からだよね?」
「そこまで答えなきゃ駄目?」
「うん。とっても重要なことだから」
いやでも、どっちからの告白で優劣云々って馬鹿らしいよね?
実際、私と固城でそういうのは一切なくて、てゆーか告白した私の方が主導権を完全掌握してますけど?
「お願い。教えてユウ姉」
だけど美雲の懇願に、羞恥心と姉の威厳がせめぎ合った末に、
「その……、私の方から……、です」
絞り出した様な声で答えると、美雲から血の気がサーっと引いた感じで立ち上がり、出し忘れた料理があるからと台所に向かう。
うーん、なーんかおかしい?
そんな疑問を追及する前に美雲が戻ってくると、その両手には大きな皿・ドーム型の蓋という、正にメインディッシュ登場な姿で現れたのだ。
「ごめん、流石にこれ以上は食べられない」
「ううん。これはユウ姉のものだから」
妹からの愛が重い。
皿を持つ美雲の手も震えていて、どんだけ重いメインディッシュなの?
だけど断れる空気じゃないので、仕方なくその蓋を開けると、そこにはカロリーお化けよりもヤバい最終兵器が登場。
500万円の札束である。




