姉妹の晩餐 1
ネタに詰まって放置中でしたが、久々に覗いたらPV累計数が増えていたのが嬉しくて更新してみました。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ」
私の溜息、どんどん重くなってない?
そう思わずにはいられない帰路だけど、それでも足取りは軽い。
何故ならば、固城更生の道が開けたからだ。
当初の予定とはかなり違うというか、そもそも私は固城の家で何をするのが目的だったのかさえ思いだせないけど、終わり良ければ全て良し!
どうやって固城のドルオタを辞めさせよっかなー。
その方法を考えているうちに家に到着、とりあえずそれは後回しにして、玄関扉を開く。
「ただいまー」
「おかえりユウ姉っ!!」
自宅の玄関を開けると、間髪入れずに妹の美雲が返事をする。
「どしたの美雲? 何で玄関で待機?」
「いや、帰りが遅いから大丈夫かなーって」
「そう? まだ7時前で暗くないけど?」
「あはははは、だよねー」
無理矢理な感じで笑い飛ばす美雲。
相変わらず行動が読めない妹だ。
「それより夕食は? 美雲の当番よね?」
「あ、ごめん用意してない」
「じゃあ近くのコンビニに行ってくる。今日は親の帰り遅いし、2人ならわざわざ作らなくても…」
「待って! すぐ用意するから家に居て!」
「え? いやでも」
「お願いユウ姉! 私に作らせて下さいお願いします!!」
「う、うん。分かった」
……………怪しい。
美雲がこういう不自然な行動を取る時、何か企んでいる可能性が極めて高い。
そう勘繰りながらも、まずは制服を脱いでお風呂に直行。体を念入りに洗ってからのシャワーでスッキリしてから、リビングに戻って問い質そうとしたら、
「何これ?」
そこには2人で食べるには多すぎる豪華な料理がテーブル一杯に並んでいて、しかも私の好物ばかりというラインナップに、明らかに私を祝う気満々な状況になっている。
確信した。
これは絶対に裏がある。
美雲はカンが鋭くて、何かを察知しての行動だろうけど、祝われる理由が思いつかないし、最近の私の変化だって何も…
ああっ! 固城かっ!!!
ユウ姉は私に似て美人だから彼氏作れ、出会いが無いなら私が紹介しようかってお節介が多かったし、今朝も男の相談って茶化されたばっかりで、何処かで情報を掴んだに違いない!
だけど腑に落ちない。
どうしてバレたのだろう?
先週末のライブは友達と遊びに行くって口実は自然な筈で、カレンダーに花丸を付けたのも自然な筈で、固城から貰ったトートバックは外出で必ず装備、ブレスレットは偶に眺めてはニヤニヤしてるだけだから、やっぱり原因が分からない。
とりあえず情報漏洩の究明は後回し。
問題は、美雲が何処まで知っているかだ。
私から男の影を察知したのは間違いないけど、それが固城という個人までか、それともドルオタ馬鹿という真理にまで辿り着いているかは未知数だ。
固城の家族紹介はドルオタ更生が終わってからの計画だから、まだ知られたくない。てゆーか彼氏がドルオタなのは明らかにマイナスで、この事実を隠蔽すべきか、それとも固城の存在を隠蔽すべきか、非常に悩ましい所だ。
そう頭を抱えていた所で、台所からメインディッシュを持った美雲が登場する。
「ユウ姉、料理できたよ」
「うん、とっても美味しそうね。でも多すぎない?」
「たまにはね。頑張って作ったし、一口でいーから全部に口付けてね」(ニコッ)
くっ、この妹ぬけぬけとっ!!
そんな妹の笑顔に、私も笑顔で返しながらも一瞬たりとも気が抜けずで、そのまま席に座って豪華な夕食スタートとなる。
「うん、美味しい」
「ほんと? じゃあこっちも食べて」
「これは初めて見るけど」
「うん。私の隠し玉で、ここぞという時の料理だから」
この妹、どこまでっ???
だけど焦りは禁物。
カマかけの可能性はもあるし、私からゲロって自白はまだ早い。
なので緊張を解かずに妹の手料理を味わっていた所で、何か言いたげでモジモジしっぱなしだった美雲が、覚悟を決めた表情で真っ直ぐに私の顔を見据えてくる。
「ユウ姉、ちょっと聞きたいんだけど、いいかな?」
今後は1000文字前後の短文になるかもですが、負荷を下げて更新が続く様に頑張ります。




