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ミニライブ・出会い編6

 そんなこんなでミニライブが休憩タイムとなり、その際に入場。

 研修生のライブ会場は簡素な作りで柵も低く、外側からもバッチリ見える構造になっている。これについて固城に尋ねてみると、


「研修生は知名度UPが最優先! とにかくドンドン入って見て下さい姿勢だから!!」

「成程。…………ところで、何その格好?」


 目の前には黄色いマスク、先が真ん丸なふんわり五芒星を装着した固城(私の彼氏)が佇んでいる。


「固城、ココは横浜スタジアムじゃないけど?」

「プロ野球マスコットの真似じゃない!! この姿はきららちゃんという新彗星に寄り添う星屑スターダスト!! 闇夜を照らす希望の星です!!!」



 うわー、頭キラキラだー



 頭痛が痛いとは正にこの事で、自信満々に言い切る姿勢が更に痛々しい。

 他人なら絶対にお近づきにならない人だけど、残念ながらコレは私の彼氏で、本当に頭痛が痛い。


「そんなアホな格好、固城だけでしょ?」

「いやいや他にもいっぱい居るから!! これを装着したファン同士で密集、スタンドから無数の星達がきららちゃんの目に映るって仕組みです!!!」

「いや、私には深海に漂うヒトデ星人にしか、大体そんな格好が他に居るわけ…」


 そう言いながら周りを見渡して、私の膝が折れる。



「何でいっぱい居るのーーー???」



 数十人で固まったヒトデ軍団が幾つもあって、中には女の子集団がお互いの格好を写メで撮ったりワイワイはしゃぐ光景まである有様だ。


「おおっ!! 前より星が増えてる!! こんなに嬉しい事はない!! 見守はこの光景どう思う!?」

「全部ブラックホールに吸い込まれればいいと思う」


 世界は不思議で満ち溢れている。

 そして人の数だけ物語があると知ってはいたけど、こんな汚い流星群を見る日が来ようとは思いもしなかった。


「もしかして、この中に固城の知り合いが居たりするの?」

「今回は見守同伴だから別行動って伝えたけど、会う?」

「結構です!!!」


 趣味を通じて交流が増えるのは素晴らしい事だけど、私はまだレベル不足だから!

 いやレベル上げる気だってサラサラないからね!

 と、周りの空気に呑まれない様に気を張っていたら、



『間もなくミニライブが再開します。会場の皆様、是非ご参加下さい』



 この場内アナウンスと同時にライブ会場の空気が一遍。

 準備体操・武装・祈りを捧げる等、各々の儀式?が始まる。


 宗教かな?



「歌詞の振り付けこう! 間違えるな!!」

「サビのジャンプも忘れるなよ!!」

「隣の間合いもチェック! 衝突厳禁!!」



 そして当たり前の様に入念な打ち合わせがそこら中でスタートだけど、ライブって適当に盛り上がって楽しむものじゃないの? なんかもう邪魔しちゃ駄目っぽい空気なので最後尾に逃げようとしたら、固城がヒトデ星人マスクを差し出してくる。


「見守もこれ被って!」

「私のもあるの!? いやでも私は初心者で、最後方からの見学で充分…」

「遠慮しない!! このマスクを被れば全て解決だから!!!」

「心の底から遠慮なんですけど!!!!!」


 だけど周りの空気にも流されてしまい、観念してヒトデ軍団に加入。今の自分を絶対に直視しないと誓ってから、よく分からない日本語(ドルオタ用語)が飛び交っているので聴覚を放棄して無心になっていたら、遂にミニライブ再開。舞台にきららちゃんが登場した瞬間、爆発音の様な歓声が響き渡ってきたのである。

アイドルにもよりますが、ドルオタは若い人以外も結構居るらしいです。

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