ミニライブ・出会い編5
きららちゃん握手会がひと段落してミニライブ会場に移動。ライブは1日中開催だけど、本日は人気アイドルグループどるぱにの正規メンバーは握手会だけで歌わず、研修生が分散してライブ・握手会を入れ替わりで行う形式となっている。
「固城、何で会場内に正規メンバー居るのに歌わないの?」
「この会場で歌ったら物凄い人だかり間違いなしで、大規模なライブは準備をしっかりやらないと大混乱でトラブル間違いなしだから」
「成程。上手く回すのって大変よね」
去年、私は文化祭のクラスリーダーを経験して思い知ったけど、物事を回すのは本当に難しいのだ。
「じゃあ研修生は空いてるの?」
「まぁ、正規と比べたらね。あと立ち見で場所指定もないから気軽に楽しめるよ」
「そう、初心者としては有り難い限りだわ」
そうしてミニライブ会場に到着すると3人組アイドルが歌っている最中で、確かに観客は多いけどスペースに余裕があり、正規の握手会場よりも小規模だ。
「ふーん。研修生だからレベル低いと思ったけど、歌も踊りも上手ね」
「ココでアピールできなきゃ上がれないから、皆必死だよ」
アイドルにとってファン数・知名度は生命線だから、大いにアピールできるこのミニライブに備えて、きっと死に物狂いで練習を重ねて挑んだのだろう。
そうして3人組アイドルのライブが終了。初見で名前も知らないアイドルだけど、全部出し切ったという汗だくで満足気な笑顔に惜しみない声援と拍手がなされ、そんな光景に見入っている自分が居たのだ。
「なんか、ドルオタが多い理由が分かった気がする」
全力で頑張る人が魅力的に見えるのはアイドルに限った話じゃない。スポーツ観戦で好きな選手を応援するのと同じ様に、好きなアイドルを応援する。それと大差ないのかもしれない。
だけど……
「これからもCDガンガン買うからね!!!」
「夏ボーナスCD代にぶっぱするから!!!」
「もやし生活で1枚でも多くCD買う!!!」
この声援に感動できない自分は、きっと間違ってない。
「くっ、やっはり僕も500万をCDにしががががががが!!!」
戯言を吐いた彼氏の尻を抓り上げながら思案。
CD売上が重要なのは分かるけど、もうちょっと何とかならないの?
因みにミニライブはCD1枚で入場可能、更に10枚なら最前列で応援可能となっており、アイドル業界は現金よりCD売上の方が重要みたいだけど、CD売上と引き換えにイメージが悪くなっていると思うのは、私の気のせいなのだろうか?




