表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生した俺、ハヤトの魔法製造師ライフ  作者: おしるこ
転生成功したから仲間とともに旅しよう
13/13

dislike

2週間ぶりの投稿です。

次の日の朝ハヤトは、もうすぐ試合が始まるというのにまだイヴさんに絡んでいた。試合の緊張を気にしないようにするという狙いもある(ハヤト説)らしい。


好きなものもあまりない、好きな人もいない、アイリス様に尽くすだけ、と言うイヴ。


「んー、じゃあ苦手なものとかないんですか?」


「苦手なもの、ですか。ありませんね」


苦手なものもないとか超人か。ちょっとかわいげないし1個くらいはあってもいいんじゃないか?と思っていると横からアリスがニヤニヤして顔を出してくる。


「あー、カエルがいるー」


棒読みかよ。何言ってんだこいつ、と思ったら、


「きゃああっ、カエル!?どこ!?嫌だよ!」


「あ、ごめーん、見間違いだったわ」


シーンと静寂に包まれるこの場。真っ赤に染まるイヴさんの顔。すごいかわいい。


「...アリス...後で覚えておきなさい」


「ごめんごめん、カエル嫌いなのが何でそんなに恥ずかしいのか全く分かんないよ」


イヴさんの背後に真っ黒いオーラが見えていることをアリスはまだ知らない。


「カエル嫌いなの、恥ずかしいんですか?」


「...いい歳してカエルに怯えてるって恥ずかしいじゃないですか」


俺的には黒い悪魔の方が嫌いなんだがな。部屋の隅の方にいた時の絶望は異常だ。前の世界のあいつとの格闘は忘れることはできない。


(地の噴出!アースジ〇ットォォォ!)


「大丈夫ですよ、俺も苦手なものありますから」


「かっこ悪いから知られたくなかったんですよ...」


イヴさんの弱点1個ゲットだぜ!アリス、珍しくナイスな活躍じゃないか。


「いい感じに緊張も解れたし、いってきます」


「頑張って下さい、いい報告待ってます」

「負けたらダメだよ、ハヤト」



俺の対戦は2回戦目だ。今1回戦をしているところで、もうすぐ決着が着く。


「勝者、ルーカス」


試合終了のアナウンスが鳴り響いた。


「2回戦目、ハヤトさん、レンさん。舞台に上がってください。」


俺は舞台に上がる。心臓の音が微かに早くなった気がしたが、初日に比べると大した緊張ではなかった。


観客の歓声がやけに小さく感じる。極限の集中のせいだろう。


「よろしくおねがいします」


「よろしく」


流石に決勝リーグともなると1回戦などの様な罵詈雑言はなかった。礼儀を大切にしている人は大抵強い。


「では、始めてください」


号令と共に俺から攻撃を仕掛ける。


【ダイヤモンドダスト】


無詠唱の上級魔法を放つ。他の者達と一緒で一瞬で凍りついて試合終了、とはならなかった。やはりレンは動かずに一言呟く。


「上級魔法、か。やはり勝ち残っている者だけあって一筋縄ではいかないな」


腕に魔力を纏わせ力任せに魔法をぶち抜いたのだ。

その次の瞬間にレンの攻撃が飛来する。


【エクスプロージョン】


炎の中級魔法がハヤトを襲う。だが魔力の密度は低く、温度も低い。だが次の瞬間にもう一段階攻撃を叩き込まれ、猛火は一段階進化する。


【インフィニティブレイズ】


光線状に放たれる業火は音速を超える。攻撃に音が追いついていない。レンの最大火力の攻撃だ。


だがハヤトは片手を前に出し魔法を抑える障壁を造る。まるで「遅い」とでも言いたげだ。


【ディスペルシールド】


前のラフィエル様が使った魔法の結界を応用し、盾状に貼る。業火は音が追いつく前に消去される。

そう。この直前に何も無かったかのように、変わったのはレンの位置とハヤトの片手のみ。


「はっ、マジかよ...バケモンじゃねえか...」


ハヤトは片手を元の位置に戻す。この頃には観客はシンと静まり返っていた。ほんの数秒の出来事が最大限に凝縮された一時だった。


「早いところ終わらせてもらおう。次は本気で行くぞ、覚悟してくれ」


観客の数人が唾を飲む音が聞こえる。今のハヤトはどんな些細な音も聞き逃さないだろう。そしてこれも無詠唱で唱える。


【スターダストフォース】


降り注ぐ9つの星屑が一つの標的に向けて光速で迫る。いきなりの事に構えも取れないまま、何が起こったのか分からないままレンの敗北が決まったのだ。


「勝者、ハヤト」


ある意味1番強者への耐性があるであろう審判が、取り乱さずに発言する。肝の強さは1番かも知れないな


「すげぇ...圧勝じゃねぇか...」


「あの黒いローブの男と張るくらいの強さだぜ...」


少しざわついた会場のことを俺は気にしなかった。

ハヤトは静かに舞台を降りる。あーお腹減ったな。

早くイヴさんのご飯食べたい。


そして勝った報告をしに、アリス達のところに戻る。


「あ、おかえり、勝ったよね?」


待ってましたとばかりにハヤトを出迎えるアリス。

もちろん勝ったと伝えた。


「今から昼食を食べて、それから11回戦目にまた試合です。丹精込めて今日も作ったので美味しく食べて下さいね」


「ありがとう。ちなみに今日のメニューは?」


「あ、今から持ってきますわね」


俺はイヴさんが持ってきた昼食を見る。パンにサラダ、ローストビーフ。これまでは全然いい。だがその隣!肉に詰まっているアレは...ヤツだ。ヤツがいる。緑色の...ヤツだ。あのなんかめっちゃ苦いヤツ。そう、小学校2年生の時に給食で出てきたヤツを吐いてぶちまけてから1度たりとも食べてない、因縁のヤツだ。


「あの...この緑色のヤツは...?」


「ん?あぁ、ピーマンですよ」


あ、こいつもそのままなんだな。この野郎、異世界転生しても俺の周りにまとわりつきやがって...


「どうしたんですか?食べないんですか?」


「え?あぁ、食べますよ、ええ」


サラダ、ローストビーフ、パンに手をつける。

そして黙々と食べ進める。昨日も見られているはずなのに今日はイヴさんの視線が痛い。美味しく食べてくれますよね?的なやつ。


そしてピーマンの肉詰め以外を全て食べ終わった後、やはりハヤトの手が止まる。


「...まさか、ハヤト...」


やめろアリス、その先は言うな、


「ピーマン、嫌いなの?」


言いやがったー!ピーマン嫌いで食べられないとか小学生じゃねぇんだから、とか言って引かれるやつじゃん!


「そうなんですか?」


イヴさん、そこは深く追求するところじゃないです!

だがバレてしまったものは仕方ないので正直に話す。


「...はい」


アリスがいいこと知った的な顔をしてニヤニヤしていたのでとりあえず鉄拳を入れておく。


「なんでですか、美味しいのに。ピーマン」


イヴさんから子供だな、と笑われているような気分になる。


「どうしてもピーマンだけは無理なんですよ」


「それでも1度、食べてみません?もしかしたら食べず嫌いかも知れませんしね」


ハヤトはイヴの提案に顔をしかめる。やはりハヤトはピーマンは食べたくないようだ。そして少し間が空いて、


「...もう、しょうがないですね。ほら、あーん」


イヴさんがフォークを持ってハヤトに差し出す。

あーんネタ使いすぎじゃね?とか思うがそこはスルーの方向で行きたいと思います。ピーマンを咀嚼し、飲み込む。感想は、


「...苦い」


「でも食べられたじゃないですか、食わず嫌いは損ですよ?」


ハヤトの顔に微妙に朱が差す。イヴさんに再度惚れ直した。女神だ、彼女は。そしてその後再度吐いたのは言うまでもないだろう。ピーマンは嫌いらしい。


昼食を終えると本日2回目のハヤトの試合が始まる。

相手はスピード型の剣士のようだ。魔法剣も使えるオールラウンダーらしい。


「第11回戦目、ハヤトさん、ロイさん、お願いします」


俺は前に1歩出る。さっきの試合より大きいオーラを感じるな、余程の実力者という感じか。


「よろしくお願いします」


「よろしくな」


ロイが構えを取る。それに対してハヤトは無詠唱で魔法を使う。


【エアロ】


身体能力を一時的に上げ、移動速度を飛躍的に上昇させる。それと同時にロイが攻撃体制に入り、体の周りを膜で覆う。水の精霊の力をその体に焼き付けて、全ての能力を急増させた。


【ウンディーネ】


体に薄い青色の魔力を纏う。その光は神々しく、ロイのオーラを更に誇張させる。そしてそれと同時にロイが地を蹴る。一瞬の内に距離を詰め、攻撃範囲に入る。その剣には高圧力の魔力が付与されている。


刹那。


「うぉらぁっ!」


ロイの魔法剣が地を貫き、舞う砂埃に少し息がしづらくなる。だがロイはそんなこと気にせずに追撃に移る。反射神経と動体視力は今まで戦ってきた者の中でピカイチだ。


避ける、避ける、避ける。地を蹴り、宙を舞う。

その勢いにハヤトは攻めに転じることが出来ない。

音速の魔法剣にハヤトは対応できない。ついには、


「見えた!」


ロイはハヤトの動きに適応してきた。体の節々に攻撃が当たることが増えてきて、皮膚に剣が肉薄する。このままでは反撃しないとまずいだろう。


ハヤトは指先に魔力を集中させる。


【ヴォルテックス】


指先から発する雷が高圧力、小口径でロイに向けて射出される。少し弱めに放ったとはいえロイは少しの動きで躱してみせる。そしてそのまま波の様な動きで攻撃を躱しながら少しずつ攻撃を重ねる。


【ディスペルシールド】


「やべぇっ!」


ロイの足払いがハヤトの足を絡めとり、背中にわずかな痛みを感じる。そして目の前に魔力の切っ先が迫る。目の前に、切っ先が...


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



物を...「造る」...



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「やったか!?」


砂煙の中にロイの声がする。それ死亡フラグですよあなた...


「やられるわけねぇだろ」


ロイとハヤトの間には硬い板の様なものが存在した。

その間に挟まれた物がハヤトの体を守ったのだ。


「これは...?」


「鋼鉄、だよ」


そんなことも知らないのか、という目で見つめるハヤト。だがロイが聞きたいことはそうではない。


「どこから、って意味だよ」


「そこの原理は企業秘密って事で、反撃いきます」


まぁ原理なんて聞かれても分かんねぇんだけどな。

魔法製造師、こんな使い方もありだな。


ハヤトの体が風を切り、空を切る。閃光がほとばしる指先に灯る光がロイを貫こうとする。


【ライトニングレイピア】


上空まで響き渡る轟音ではなく、あまりにも静かな光の矢が射出される。それも1本ではなく連続で、音も無しにロイを追撃する。


【エクスプロージョン】


爆炎が更なる追撃を行う。それでも水の魔力の障壁の力は凄く、地面に膝をつかずになおその戦意をむき出しにしている。大した根性だ、と感心しかけるところで、ロイからの攻撃が再度ハヤトを襲う。


「まだ終わってねぇぞ...何勝った気になってんだ」


息も絶え絶えに語る。そして地を蹴りハヤトに向かうロイは未知の、そこには無かったはずの物体に足を阻まれる。


「は?」


思わず素っ頓狂な声を出すロイ。誰だって何も無かったところから板が出てきて歩みを妨げられたら驚くだろう。


「プラスチック」


聞き覚えのない言葉に困惑しつつ、次の攻撃に移る。

物理攻撃が効かないなら魔法に頼るまで、と。


【ヴォルテックス】


一筋の雷がハヤトを襲い、次の瞬間一瞬にして消え去る。その間ハヤトは指先一つでさえも動かしてなかった。


「ゴム」


「くっそ、魔法もかよ!?まだだ...」


続けて詠唱、攻撃に移る。地を蹴り、突進しながら魔法攻撃に移る。ハヤトは鉄を目の前に出し攻撃を防ぐ。その鉄を見た瞬間にロイがニヤリと笑う。


【イフリート】


高温の業火が悪魔を型どり、ハヤトを襲う。まだ直撃もしていないのにかなりの熱がハヤトにかかり、チリチリと音がする。そして今ハヤトを守るものは厚い鉄の板1枚だけ。


「知らないのか、鉄は熱に弱いんだぜ?」


当たり前の事だぜ、と言わんばかりにロイが言い放つが、その魔法は1枚の鉄板でさえ貫き通せない。そしてハヤトは不敵に笑い、得意気に解説する。


「鉄は熱されると溶ける、と言うイメージがあるようだから正してやるよ。鉄の融点は1500度を超える。すぐ溶けるように思っているのか知らないけどそう簡単には溶けないぞ」


魔法まで無力化されたロイは驚愕の表情を浮かべる。

あの攻撃から全ての攻撃を無力化されるのだ。


「終わりだ。最後まで相手を倒そうとするその闘志、素直に感心したよ」


そう語るハヤトの手から最後の攻撃が繰り出される。


【ブリューナク】


氷の龍がロイを包み込んで封じ込めた。驚愕と謎に包まれた表情がやけに頭に焼き付いた。一つ前まで多大な熱に包まれていたこの場は、空気までも凍りついてしまうような冷たさに覆われた。




「...らしくないこと言ったな」


くさいセリフに少しだけ恥じらいを感じたハヤトはリンゴを造ってかじりついた。


「腹減ったな」











読んでいただきありがとうございます。これからもお願いします。


戦闘シーン短いかな

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ