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プロローグ
――なんでこうなるんだ
「お前は早くここから逃げろ!!」
辺り一面には魔物だらけ。でかい個体もかなりの数が確認できる。どう見ても状況は絶望的だ。
「でも…この量じゃいくらみんなでも!!」
「良いから逃げろって言ってんだろ!!お前は人類の希望だ!こんなところで死なせるわけにはいかないんだよ!早く行け!」
きっとみんなは俺の逃げる時間を稼ぐために戦う気なんだろう。死ぬつもりで。
「だけどそれじゃあみんなが!」
「早く行け!!!!」
「…っ!」
俺は唇を強く噛みしめてみんなから離れるように逃げた。
みんなが死んでしまう事もわかってた。
俺のせいで。
だけど俺にみんなを救う力はない。
それどころか今まで守られてばっかりだった。
なのにその恩を仇で返し、ただ無様に逃げるだけしか出来ない。
いつか俺が人類の役に立つ事が出来るその日まで、俺はただ逃げる事しかできない。
他人を犠牲にしてでも生き残らないとだめなんだ。
…俺は人類の希望だから。
――でも本当に俺はみんなの言う『人類の希望』なんだろうか…?
――みんなが…俺がしてる事は…本当に正しいのか?