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【冬籠り】ーMorning Callー
柊・シュッテパルムの朝は早い。
夜明け前のまだ薄暗い時間に起きて、同室の同僚たちを起こさないように部屋を抜け出す。
夜勤の兵士がまばらにいる兵舎へ行き、中庭にある訓練場で剣を奮う。たまに思い出したように、彼を弟子と呼ぶ将軍が顔を出し剣を交えては柊を笑顔で叩きのめしていく。
太陽がじわじわと顔を出し世界がゆっくりと目覚めていくのを汗を散らしながら剣の切っ先で感じるのが彼の朝だ。
(あぁ)
なぜか、いつの間にか感じるようになった朝のそれ。
「……起きたか」
夜が明けてしばらくすると世界の空気が変わったのがわかる。
彼の主が目を覚ました。
「おはよう、壱琉」
今日もキミと生きていく。