ソルプレ―ザ×病猫に憑かれて破滅寸前な少女「つかの間の憩い」
※kindleにて発売中の「病猫に憑かれて破滅寸前な少女」のweb連載時のクロスオーバー回。
満点の星空と赤い月の下、真っ暗な世界に不知火のように揺れる焚火の向こうで、見たことのある男の子が笑っていた。
(誰だっけ……)
ゆっくりと起き上がりながら、記憶を手繰り寄せる。糸目が特徴的な、優しい雰囲気を醸し出している彼は……確か……。
「前にも会ったよな」
「タケルくん?」
そうだ、夢で会った。でもあれは夢で……いや、でもこれも夢だから全然おかしくないのかな?
周りを見まわたすと、大きな岩と焚火の橙色に照らされた乳白色の大きなダンゴムシが私達を囲むように壁になっていた。ダンゴムシはお尻の方から動物の骨が屋根みたいになっている。
「あの……え、なにしてるの?」
「焼くんさ。まいるも食う? さっきそこの草のトコで見っけた」
タケルくんはウネウネと動いている丸々とした芋虫を三匹、鋭い枝に串刺しにして焚火で焼き始めた。
「イイ感じで焼けるとエビみたいにプリッとするんて」
「食べるのそれ?!」
「もはやファミチキ感覚で食ってる」
「ファミチキ感覚!」
なんと言うことでしょう。私の頭の中の友人は芋虫をコンビニスナック的なノリで食べているではありませんか。
どうなっているんだろう、私の夢の登場人物って。
焚火でチロチロと芋虫串を焼くタケルくんは遊牧民のような服装をしていた。あちこちボロボロで、毛羽だったり穴が開いたりしている。右足にだけ防具を付けた彼を見ていて、気が付いた。
私もだ。
頭から腰まで、一枚の大きなスカーフみたいな布ですっぽりと包まってる。腰から下も大きな布を巻いてスカートみたいになっていて、腰には銀色の鎖で……ナイフを下げていた。
思わず目を見張る。刃渡り30センチ程のナイフが、鞘もなにも無く、むき出しで腰から下がっていた。
「それ使ったんだな」
「え?」
「ナイフ」
「使ってない」
「でも使った跡ある」
「え?」
言われても全然わからない、というか手に持つことすら怖くて触れないのに私に使えるわけがない。
「刃が欠けてる」
「嘘?!」
頭のなかの色々が一気に吹っ飛んで、慌ててナイフを手に取った。
「どこ?! どこ!?」
「先端トコ」
「……ほんとだ」
片刃の刃先の部分がちょっと欠けてる。
「そんな……大事にしてたのに」
涙が出てきた。
「直るかな?」
「うーん、研げばワンチャン。でも新しいのにしたほうが」
「いやだよ! このナイフがいい!」
スカーフ越しにナイフを抱きしめた。持ってみれば全然怖くない、これは私のナイフだってよくわかる。
タケルくんはちょっとびっくりしてた。
「だったら、せめて鞘くらい入れてやらんばさ。いくらなんでも錆びるこってね」
「鞘、持ってる?」
「俺が?! まさか。ていうかそれ元々鞘あったん?」
「わかんない」
「じゃあ、合わせて作ってくしかねーんじゃねえかな」
「そっか……」
銀色のナイフを見つめた。一か所だけ欠けた刀身はそれでも鋭利な輝きを放っていて、磨き上げられた表面に私のちょっと落ち込んだ顔を映してる。
「なんかあった?」
「え?」
「なんか……すげえ元気ないから」
なんでわかるんだろう?
「やりたいことが見つからなくて」
ギュウッと心臓が縮こまった。それは2月28日の夢のなかで彼が私を駆り立てた言葉だ。
涙がポロポロと零れていく。泣きたくないのに、焚火の温かさとタケルくんの柔らかい雰囲気で私の中の硬いなにかが溶けていくようだった。
「やりたくないことばっかりで」
「うん」
「皆、勝手なことばっかりで……キレちゃった」
「そっか」
芋虫串を焼きながらタケルくんは苦笑した。
「それはきっついな」
彼の優しさで、ぶわっと色々なものがいっきに溢れてきて、気が付いたら私は泣きながらまくし立てていた。
先生に告白されてキスされたこと、真っ赤なバールのこと、ノラが私に謝罪を強要したこと、お尻を叩かれ裸でベランダに放置されたこと、私がキレて大嫌いって言ったこと……
タケルくんは口を挟むことなく黙って聞いてくれて、なんだかすごく嬉しかった。
(私、ものすごい喋ってる)
恥をさらしているけど、いいよね。だってこれは私の夢のなかのことなんだし。
高校受験を終えてマンションに帰ったら、お金を置いてノラが消えたところまでマシンガンを撃ち尽くしたみたいに話し終えた時、私の息はすっかり上がっていて、クタクタだった。
「……ごめん、喋り過ぎたかも」
「いいよ、聞いて欲しかったんろ?」
「…………うん」
誰かに聞いて欲しかった。誰でもいいから……いや、違う。
「ノラに……こんな風に聞いて欲しかったな」
膝の上に置いたナイフを見つめる。頬からまた涙が伝って鈍色の冷たいソレに弾けた。
「アイツ、全然私の話聞いてくれないんだもん」
「それで泣き言聞いてくれるその阿呆に乗り換えるって?」
からかうような嫌味ったらしい声が言った。
軽自動車並みの大きさの乳白色のダンゴムシに顔を向ける。ダンゴムシのパックリとくりぬかれた背中から、ゴーグルとマフラーを巻いた男の子が起き上がるように顔を出した。タケルくんが少し不機嫌に彼の名前を呼ぶ。
「キヌ、盗み聞きすんなよ」
「誰かさんたちの内緒話で起きちまったんだよ。聞かれたくなかったらもっと声をおとすんだな。それよりその女からナイフを取り上げろ。自分で自分の指を落とすタイプだぜソイツは」
タケルくんとキヌくんがあらためて私が持ってるナイフに顔を向けたから、2人から隠すように抱え込んだ。
「まいる、やっぱそれ捨てよう。このファミ男とチキ助をやるっけ」
「いらない」
たとえそれっぽい名前を付けられても、芋虫は食べたくない。
ダンゴムシから降りたキヌくんはタケルくんの隣に座った。
「夜中に美少女と2人っきりなんて異世界転移小説の主人公らしくなってきたじゃねえか。いよいよお前のハーレム構築がはじまるってわけだ」
「からかうなよ」
「まあでも元カレの悪口を言って近寄ってくる女はやめとけ、相談女は地雷だぜ」
「キヌ、謝れ」
私が「それどういう意味?」って言う前にタケルくんが怒ってくれた。
「まいるはそういう女じゃない」
「楽天楽観平和主義のハッピーセットには幼心の君の心中が分かるってか? 晴れ渡る空の虹の向こうは心の綺麗な良い子しか来れないとでも思ってんのかよ」
「回りくどく言うな」
「じゃあハッキリ言ってやる」
キヌくんは皮肉まじりの笑いを捨てて私をゴーグルの下から睨みつけてきた。
「グズグズ泣くな、ウザってえ。お前の男を見る目が無いだけだ」
グサッ! グサっと来た! 心臓に直にきた!
「うっ……ちが、私の彼氏じゃな……」
「一緒に暮らして? キスして? 衣食住世話になったあげくに彼氏じゃない? じゃあパトロンか? ああ、言っとくけどこれは俺の妄想じゃないぜ。ぜーんぶお前の自白だ」
「キヌ、正論はいまやめとこ、な? まいるも傷ついてるんだっけ」
「タケルくんも結構酷い!」
二人そろって私のメンタルをボコボコにしようとしているんだろうか。
「私、被害者なんですけど?! お尻叩かれて裸でベランダに放置されたんですけど!」
「それだ。なんで上手くやらねえんだよ。適当にあしらっとけばよかったんだ。失敗しやがって。いいか、好いた惚れたにのぼせてるメンヘラ構って野郎とはまともに向き合わずに、根こそぎ取れるもん取っておけばよかったんだ」
「……そんなことできないよ」
「利用できるもの利用しなきゃ生き抜けねえだろう」
「ノラを都合よく利用したくて一緒にいたわけじゃないもの」
「そいつのこと好きなんだな」
タケルくんがしみじみと言った。
キヌくんと私がポカンとすると、彼はちょっと驚いたようだった。
「俺、変なこと言った?」
「話を聞いてたかハッピーセット。変態ド畜生のクソに惚れる要素がどこにあるんだよ」
「いや、だって……利用しようと思って一緒にいたわけじゃねーんらろ?」
「うん」
「そんで、ソイツに本当は話を聞いて欲しかったんろ?」
「……そうだけど」
「本当はさ、仲直りしたいとか思ってたり」
「するわけないじゃん!」
自分でもびっくりするほど大きな声が出た。
「ノラなんて大嫌いだよ、私との約束を破ったんだから」
「その約束って聞いてもいい?」
「……男女の関係的な、つまり……えっと……」
いくら夢のなかとはいえ、男の子相手にちょっと言い辛い。もごもごと口の中で言葉を遊ばせていると、キヌくんがマフラーとゴーグルを外した。
焚火の炎に照らされるその顔に驚いた。男の子にしては高い声だと思っていたけれど、キヌくんはキヌちゃんだったのだ。
「無理矢理されたのか?」
「……高校卒業まではしないって約束だった……担任の先生に私がキスされたって知って、怒って……それで……、話しも聞いてくれなくて」
「話も聞かずに無理矢理お前を抱いたのか?」
「……うん」
キヌくんは閉じた左目のこめかみを指先でトントンと叩いた。
「OKシスター、仇をとってやるよ。野郎に三つ目の金玉をぶち込んでやる」
「やめろって」
タケルくんが優しい顔を苦々しくゆがめるとキヌちゃんの眉間にしわが寄った。
「まさか強姦魔の肩を持つとか言わねーだろ?」
「言わんけどさ。そうじゃなくて……まいるさ、自分に嘘つかんほうがいい」
「……え?」
「大嫌いって言ってるときの顔、すげー辛そうだ」
私そんな顔してた? 自分じゃ全然わからない。
「悲しいのを無理して強がってるように見える」
「……悲しいことなんて」
「俺じゃなくてノラに話を聞いて欲しかったって言ったねっか」
ドキリとした。タケルくんの言葉が、私が知らない私の核心をついてくるようだった。
「それは、そうだけど……」
「本当に嫌いなん? 一緒にいて楽しかったことなにもなかったか? 良いことも沢山あったんじゃねーか?」
ノラと一緒にいて、楽しかったこと……。
(そんなの……)
「……ある」
いっぱいあるよ、当たり前じゃん。
アイツと出会ってからの2カ月と24日間、私の毎日にノラは強引に入ってきた。私の人生で、こんなに忙しく怒ったり泣いたり笑ったりした日々はなかった。
ノラはそれまでの私の日常に土足で踏み込んで、大暴れして、あらゆるものを壊し、強引に私の視線を教科書から引っぺがした。
「ノラは頭のぶっ飛んでるド変態で言動が気持ち悪いの」
私を構成する血も涙も汗も、全部に価値があるって言ってくれた。
「おでんやピザを卑猥に食べさせてくるし」
ノラと暮らして初めて食べたものがいっぱいある。一日だって欠かさず、私からおいしいって言葉を引き出してくれた。
「ベタベタ触ってきてうざいんだ」
人肌の温度というものが心地良いものだということをノラは私に教え込んだ。剥き出しの素肌が触れ合うと、身体の深い部分がせつなさに焼けるってことを私は知らなかったの。
静かに涙があふれてきてゆっくりと零れていく。
暴力的なまでに鮮やかなノラと共有した時間を思い出になんて出来ない。
過去にするくらいなら、ずっと痛みを持って生きていきたい。
ああ、そっか。私……。
「ノラが好き」
言葉にしたら、想いが溢れてきて止まらない。
嫌いじゃない、大嫌いじゃない。
――好き。
いつの間にか当たり前みたいに好きになっていて、自覚することもできないくらい自然と好きになってた。
「なんで大嫌いって言っちゃったんだろう……」
ノラじゃない人に触れられて嫌だったから、ノラに消して欲しかっただけなの。抱きしめてもらえたら、それだけでよかったのに……
先生をバールで殴るより私を慰めて欲しかった。浮気だって怒るよりも私のことを信じて欲しかった。
そうしてくれないノラが嫌で、私を責めるノラが嫌で、ノラをめちゃくちゃ傷つけてやりたくなったんだ。
「私、アイツを大嫌いって言う資格無いね」
ノラに信頼してもらえるようなことをこれまでしてこなかった。アイツの好きって気持ちに甘えて、自分の気持ちを自覚することもしなかった。
すべて魔法使いさんの言う通りだ。私たちは決定的に話しあうことが足りなかった。あんなに側にいたのに……。
タケルくんが優しさそのもので言った。
「ノラ、まだ生きてる?」
「うん」
「じゃあさ、ちゃんとまいるの気持ちを伝えてみたらいいんじゃねえかな。全部諦めるのはそれからだって遅くねえよ」
「でも……」
「大切なヤツが生きてるなら、俺なら迷わず会いに行く。もう2度と会えなくなる前に」
柔らかく笑うタケルくんだったけど、どこか痛みを湛えてる。
彼はもしかしたら大切な人を失ったことがあるのかもしれない。会いたくても会えなくなってしまった人がいるのかもしれない。
(ノラにもう2度と会えない)
1人で生きていくって息まいたけど、ノラに2度と会えないっていうのは本気で考えていなかった。
凜々花ちゃんの家に泊まったのだって、もしかしたらノラがあのマンションに帰ってくるかもしれないって考えたからで……。
「後悔するよりも、自分のやりたいことやらんばさ」
やりたいこと……。
私のやりたいことは……。
「ノラに会いたい」
2度と会えなくなることがあるのなら、その前にノラにもう1度会いたい。こんな終わりは嫌だ。
「もう、顔も見たくないって思われてるかもしれないけど……会いたい。もう一回ノラと話したい」
「ご都合主義だな」
呆れを含んだようにキヌちゃんが言った。彼女は肩をすくめる。
「いまのでよくわかった。メンヘラ野郎じゃない、お前がソイツの爆心地なんだ」
「……え?」
「ちなみに俺の動く爆心地はコイツだ」
「俺?!」
親指でぞんざいにタケルくんを指さしたキヌちゃんは、嫌々とした感じを隠すことなく言ってのける。
「コイツは底なしのお花畑だ。3歩動けば問題を起こす生粋のトラブルメーカーで、おまけにそれを全く悪いと思ってない。自分から最悪を呼び込むヘマを何度もやらかしちゃ、人を巻き込んでる」
「う、ごめん」
タケルくんはとても居心地が悪そうにシュンとした。彼は一体なにをしたんだろう?
「会いに行くのはいいけどな、せめてその後先ってやつを考えてやれよ。野郎を爆死させんのか、それとも自爆か、心中か。気持ちだけで先走ると、そこにいる馬鹿みたいに、頭がパックリ割れることになるぜ」
厳しさを持った声には、どこか心配するような気配が漂っていた。最初、彼女を意地悪な子だとおもったけれど違うのかもしれない。
「……会いに行かない方がいいってことかな?」
「行きたきゃ行けよ、ただし万難を排してってやつを忘れるな。誰かに頼れそうだったら、迷わずそうしろ」
タケルくんが自分の後頭部を不思議そうに撫でた。
キヌちゃんが苦笑する。
「この夢から覚めたら、俺も話さなきゃならないことがある……」
「え、これ夢なん?」
「えっ?! むしろ夢じゃなかったら私、ものすごい恥を他人に晒してるんだけど?!」
びっくりした顔でタケルくんと見つめ合った。
「…………アイツが死んだとき、俺の夢に出てきた」
優しい糸目が驚愕に見開いていって、彼は少し怯えたようにキヌちゃんに顔を向けると、弾かれたように大きなダンゴムシの背中の中を覗き見た。
「亜樹がいない!」
「喜ばしいことじゃねえか」
「お前ら死んだんか?!」
「えっ、なにそれ、なんでそうなるの?」
意味が分からない。私は後輩のお家にお泊りしていただけなのに。
キヌちゃんは乾いた笑いを漏らした。
「本来なら俺は蜘蛛の化け物に齧られかけてて、タケルは脳天がパックリ割れてんだよ」
「たぶんどっかの骨もイッてる」
自分の身体を叩いて確かめてタケルくんが眉間にしわを寄せた。
「ボキって折れる音がしたし」
「いやああっ、やめてよゾワッときた!」
「俺らが死んでるかもってことはまいるも死亡説濃厚だっけな」
「せっかくノラに会うって決めたのにその前に死にたくない!」
頭をガシガシと掻いたタケルくんの表情がゆっくりと強張っていく。
「…………思い出してきた、確か新キャラが出てきたんだ。それでソイツにやられ……ていうか知り合いか?! なんでお前の名前知ってんだよキヌ! アイツなんだ!?」
「うるせえな、起きたら話すって言ってんだろう」
「新キャラかぁ、いいなぁ」
なんかこの先の未来が明るそうに聞こえる。キヌちゃんが安心するように私に頷いてくれた。
「病猫も出てくるから大丈夫だ」
「本当? お友達になれるといいなあ」
「ならんくていい。新キャラとかいう不穏な存在はソルプレも病猫にもいらん」
「えー、でも友達欲しいよ。私友達いないし」
「なに言ってんだて、俺らもう友達じゃん」
当たり前みたいにタケルくんがそう言うから、私は二の句が継げなくなったんだ。
「まあ、恋愛相談受けて偉そうに発破かけたヤツが友達じゃないってのも無責任だよな」
キヌくんは焚火端で焼かれているタケルくんの芋虫串を勝手に取るとファミ男にガブリと食いついた。タケルくんが悲鳴みたいな声を出す。
「俺のチキ助―!」
あ、チキ助だった。
「違う、こいつはからあげちゃんだ」
「揚げてる要素ないね」
「食うか?」
「うーん……食べてみようかな」
「俺が進めたときは食わねかったのに!」
だって友達だって言ってくれたからさ。
お友達と一緒だったら、何食べても美味しいんじゃないかなって思ったの。
三人で芋虫を食べていたらいつの間にか真っ赤な月は傾いていて、遠い空の向こうがうっすらと藍色に変わっていた。
夢から覚める時間だって、全員がわかった。
二人は起きたらきっと痛みと向き合わないといけないんだ。物理的な傷を抱えて、恐れずに話し合う。
私はそんな風に強くなることができるだろうか。
「まいる」
太陽が顔を出したときタケルくんが笑った。
「頑張れ」
朝日が私のナイフに反射して世界が煌いた。
いつかの同級生の背中に似た眩しさのなかにいる気がした。
これは夢だけど、私はあの目もくらむような入り口に立っているのかもしれない。
「うん、頑張る」
たとえ月の色が違っても、存在する世界が違っても、私達は繋がっているんだ。