プロローグ
ドケザー
僕の目の前には土下座をした女の人がいた。
「はぁ!?」
突然の光景に僕は驚きを隠せなかった。
僕は訳が分からず何が起きたのか思い返してみることにした。
確かあれは──
僕の名前は羽田孝太郎。どこにでもいそうな名前の普通の高校2年生。
僕は人よりちょっとだけ記憶力がいい。まぁ、かといって何か出来る訳ではないんどけどな。
その日も普通に帰ってた。
そんな時、普段は寂れて人も寄り付かない公園で女の子が3人組の男に襲われているのを目撃した。
あまり関わりたくなかったから無視しようと思った。
けれど、その娘から「助けて」という声を聞き、我に返った。
僕はその3人組に突撃して無事その女の子を助けた。けれど、女の子からお礼を言われている時に、後ろからリーダー的な男に隠し持っていたナイフで刺されてしまった──
「ああ。ってことは僕は死んだのか」
記憶を振り返って見ても呆気ない人生だったな。
「ちちち違いますよー。羽田孝太郎さん。あなたは死んでいませんよ」
そういやまだこいつがいたな。
「キミは誰だ? なぜ僕の名前を知っている? 死んでないとはどういうことだ」
「わわわ、そんないっぺんに質問されても答えられないよ〜」
それもそうか。
「悪かった」
僕は素直に謝ることにした。
「いえいえ。まず、驚かないで聞いてください。私はあなたを守護する神です。本来あの場所で死んではいけないあなたを私の不注意で死なせてしまいました。申し訳ございません」
神やらはそんなことを言ってきた。
「ちょ、ちょっと待てよ。お前言ってることめちゃくちゃだぞ。さっき死んでないとか言ってたくせに結局死んでるってどういうことだよ。しかも、守護する立場なのに間違って死なせるとか······」
「つくづく申し訳ありません。お詫びと言ってはなんですが、あなたには転生して、2度目の人生を送ってもらいます」
転生······だと!? 話が飛びすぎてる気がするが、転生は嬉しい。
「転生先はこちらで決めさせてもらっていますので、あなたは3つの特典を選んでね」
「ちょっと待て。特典の前に転生先を教えろ。僕がどこにどうやってするのかが大事だ」
「あっ、ごめんなさーい。忘れてましたー。では説明するねー」
さっきからキャラが変化するのはおそらくこいつの仕様ってところか。
「あなたに転生していただく場所は異世界”アルゲンヴルグ”です。そこの主人公に憑依という形で転生してもらいます」
「憑依? 大丈夫なのかそれ?」
僕が心配しているのは元の人格のことだ。元の人格があるままだと色々と問題があるからな。
「ご安心ください。その主人公は既に死んでいて、その世界では行方不明となっています。なのにその方は幽霊として居座っているので正直邪魔······いえ、ルールに反するのでどいていただくことにしました」
神の何個か気になるところがあるが、今は触れないでおこう。
まぁ、結局のところその主人公は邪魔なんだな。
「ちなみに彼にはあなたの世界へ転生してもらうんだよー」
はぁ!? こいつ何がしたいんだか分からないぞ!?
いや、そんなことよりもっと大事なことがあるか。
「おい! お互いの記憶はどうするんだよ!」
そう。1番の問題はそれだ。なぜなら憑依するということはその人物になりきるということだ。
いつもの話し方と違ってたらその世界の人物は確実に気付いてしまう。
「それはね、転生(憑依)したと同時に元人格の記憶と世界観がインプットされるから問題ないよー」
なんつー便利システムだ!
「じゃあもういいかな? さっさと特典を選んでくれるかな?」
むちゃくちゃだなこいつ。まぁ、もうないが。
「そうだな。俺が選ぶ特典は──」
「それでいいんですね?」
「ああ」
「それでは新しい世界へいってらっしゃいませ」
そういうと僕の体が光り輝き、次の瞬間異世界へと僕は転生された。
「行きましたか。危ない所でした。一瞬勘づかれたと。さすがは───ですね。ですが、バレなくて良かった」
神はそう言うと指を一つ鳴らした。すると、今まで隠れて見えなかったモノが姿を現した。
「でも、今は人より少し記憶力がいいのと頭が切れるだけだね。ふふっそうでしょ? マナ。いずれ彼は──」
姿を現したのは孝太郎の本来の守護神であるマナの変わり果てた姿だった。
新作です!
予定していた時間より、大分遅くなってしまいましたが、ようやく完成しました!
異世界転生ものは何個か書いたことありますが、投稿するのは初めてです!
「こうして世界は破滅する」「ある少女の恋物文学」
こちらも連載中ですので、よろしくお願いします!!