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闇の牙  作者: 神羽天仁
8/8

魔石

海の日

 店を出た後、影狼とアオはまだ魔石を売る店探しをしていた。


 「なかなか見つからないな」


 (そうですね。もう日が暮れそうです)


 2人して途方に暮れていた。あの後何軒かあたったのだが、「うちでは買い取れません」の一点張りで売ることもできなかった。

 夕暮れのなか、通りには閉まっている店の方が多くなってきた。

 今日は、あそこで最後にするか・・・。通りの突き当りの小さな建物に入る。

 中に入る日暮れ間近もあり、薄暗い部屋の中にランプの灯が怪しく揺らめく。その奥の方のカウンターに1人の老婆が座っている。

 あまり期待せずに老婆に話しかける。


 「すみません」


 「なんじゃ?こんな時間に珍しい。店を出したいのか?」


 「いえ、魔石を売りたいんですが」


 「魔石?どれ見せてみぃ」


 魔石を取り出し老婆に見せる。老婆はそれをずっと眺めてから、


 「小僧、これをどこで手に入れた?」


 「エルフから貰いました」


 「なるほど、エルフか・・・さぞかし位の高い・・・ぶつぶつ・・・」


 老婆が1人でつぶやき始めた。ここも駄目そうだな。あきらめかけたとき・・・


 「この魔石、金貨10枚で買い取るがどうじゃ?」


 (影狼、いいんじゃないですか。妥当な値段だと思いますよ)


 アオが納得するならその値段だろうと思い、


 「わかりました。金貨10枚でお願いします」


 「では、そこで待っておれ」


 そういうと老婆は奥の部屋に入っていき、数分後に出てくる。


 「ほれ、金貨10枚じゃ。持っていけ」


 麻の袋に入った金貨10枚を1枚1枚並べて見せてまた詰める。


 「確かに金貨10枚貰いました」


 「しておぬし、エルフの王族と繋がりがあるのか?」


 いきなり奇なことを聞いてくる老婆だ。


 「ありませんが」


 「そうか・・・、この魔石は魔力の質もよく、天然ものにしては形が綺麗じゃ。となると作られたものということじゃが、今はエルフでも王族以外の魔石作成は禁じられておるからのぉ。ましてや、人間の手に渡ることなど滅多に無くなってしもうたんじゃよ」


 なら、リュミエール達は王族だったわけか?


 「なんにしろ、また珍しいものが手に入ったら持ってきてくれ。相応の値段で買い取るぞ」


 「その時は、よろしくお願いします」


 店を出た頃は、日が落ち暗くなっていた。


 (良かったですね、お店は古かったですけどちゃんと買い取ってもらえて)


 「そうだな、お金も手に入ったし明日はこの街を見て回るか」


 (わーい。明日が楽しみです)


 その日の夜は適当な宿屋に泊った。

今年から山の日があるらしい。

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