門番
半年も開いてしまいました。すみません。
山に籠って2ヶ月が経った。最近はこの世界の文字や言葉をアオに教わっている。この前エルフの姉妹にあった時に、言語の壁というもの行き当たったからだ。アオがいれば問題はないのだが念の為に覚えておくのも悪くはないだろう。
魔力のコントロールはそこそこ出来るようになったが、新たな問題点が発覚した。長時間魔力を注ぎ込まれると具合が悪くなる、いわゆる魔力酔いというものになってしまう。これは馴らしていく他に方法はないので、暫くは魔力を体に馴染ませていくことと言語を習うことが主になりそうだ。
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ある朝、アオが街に出掛けてみないかと提案して来た。今拠点にしている遺跡があまりにも簡素なものだから、″でぇと″というものをしながら調度品を調達したいらしい。ちなみに、資金はリュミエールから貰った魔石を売ればいいとのこと。早速、支度をして街に出かける。
遺跡から南に3時間歩くと森が終わり草原に出た。そこからさらに2時間程進むと遠くに街らしきものが見えてきた。さらに近づくと門らしきものと2人の門番らしき男が立っている。近づくにつれて門番の2人もこちらに気付き、警戒してくる。
「待て、ここを通りたいなら通行証の提示か、通行料銀貨一枚をよこせ」
(アオ、金が要るらしいがぞ)
(う~ん、どうしましょう。お金なんかありませんし・・・)
(町に入るのに金が必要だと知ってたんじゃないのか?)
(少し前に意識だけで来た時には、通行証を見せてる人なんていなかったですし、お金なんて取ってなかったですよ)
(最近になって取り始めたのか。しかし困ったな・・・)
資金面は街に入ってから魔石と山菜を売って調達しようと思っていたんだが。
「おい何している、街に入るのか!入らないのか!!」
もう一人の門番が、痺れを切らせて怒鳴ってきた。このままだと変に怪しまれて面倒になりそうだ。
「すみません。この前来た時には街に入るのにお金を取っていなかったもので少し困っていまして」
すると門番の2人が顔を見合わせてから、槍を突き付けてきた。
「何を言っている、昔からここでは通るのには通行証か金は必要だ!!」
「怪しい奴め!!何しに来た!!」
明らかに疑われてしまった。
(おい、アオ!!お前は少し前には必要無かったと言っただろ。どういうことだ!!)
(えっ?でも本当に前に来た時には必要なかったんです)
(だが現に、金を取っているぞ)
(でも、でも本当に・・・)
駄目だ。このまま言い合っていても仕方がない。アオを責めるのはこの状況を何とかしてからだ。
「すみませんでした。道中で追剥ぎに出くわしてしまって手持ちのお金が無いんです。何とか山で集めた山菜をこの街で売ってお金にしようと考えたんですが、どうしてもここを通りたくて嘘を言ってしまいました。許してください」
咄嗟に適当な嘘と事実を掛け合わせた言い訳を言ってみた。門番2人は気の毒そうにこちらを見ている。
「それは可哀想に、だがこれも仕事だからな。200年前にこの街が帝国領に取り込まれてから、この街の出入りは厳しくなってな。無暗に特別に通してやるということはできない」
やっぱり無理そうだ。仕方ない引き返すか・・・
「しかし、そこら辺に銀貨の一枚くらい落ちているかもしれないぞ。最近俺の財布に穴が開いててな、よく金を落とすんだよ」
そういうと、中年の方の門番がごそごそと薄汚い巾着を出して左手に掲げる。それを見た若い門番が、
「見事に汚い財布ですね・・・」
「うっせぇ!!俺は物持ちがいいんだよ」
「でもどこかで財布の寿命は三年くらいだって聞いた覚えが・・・」
「使えてりゃあいいんだよ。使えてりゃあ」
「穴が開いてお金が落ちるってさっき・・・」
「落ちても拾えばいいんだよ!!」
「無茶苦茶だぁ~」
二人の漫才の途中でアオが、(影狼、影狼)と呼び掛けてくる。オアの視線の先は中年門番の右手を見ている。何か握っているようだ。そして、その手から銀貨一枚がわざと落とされる。
「先輩・・・」
若い門番は少しあきれ気味に中年門番を見て笑う。
「ところで坊主、銀貨は見つかったか?」
中年門番は照れ臭そうに若い門番を視線を無視して聞いてきた。俺は、中年門番の落としたコインを拾い、
「はい、見つけました。銀貨一枚です」
「おう、確かに銀貨一枚。通っていいぞ」
「ありがとうございます」
「ん?拾った金だろ。なんで俺に礼をする?それより山菜売れるといいな」
そういうと俺を中に通して2人はまた番に戻っていった。
(影狼、影狼。なんだか良い人達でしたね)
(そうだな、最初はどうなることかと・・・と、そういえばアオ、お前少し前に来たことあるとか言ってたがいつ来たんだ?)
(え~とですね、確か400年位前に・・・)
このあとアオに説教した。
門番2人も後々出したいです。