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今回は武士さんです。口調がおかしい所もあると思いますがご容赦ください。
ガタンゴトン ガタンゴトン
………。
拙者は何ゆえこのような場所におるのだ? 拙者は確か殿に御一緒させて頂き関ヶ原の地で戦をしていた筈なのだが。
それに、この妙な乗物はなんなのだ。幅や速さからみて人力の駕籠ではあるまい。では、馬なのか? 否、馬は人を一人乗せて駆ける分には速いがこのようなでかい駕籠を引くとなると馬では無理であろう。…むっ、この囲いから外を見れるのやもしれん。どれ、少しばかり何で引いているのか調べてみるとするか。
………。
どういう事だ!? 駕籠が勝手に動いているだと!? 信じられん。ヒノモトの国ではこのように何の力も無しに動ける駕籠など聞いた事もない。一体どうなっているのだ…。
ん? 何やら音がしなくなったぞ?
駕籠の一部が開いた?
「お客さん着きましたよ」
駕籠の中に入ってきたぞ!?
「なにやつ!? お主、見たところヒノモトの人間ではないな!?」
「ヒノモト? ああ、日本の事か。…確かに私はヒノモトの人間ではありませんね。ですが、正確にどこの人かと問われると返答に困ります」
「何? どこの国の者でも無いと申すか」
「ああ、でもそんなに警戒しないでください。少なくともあなたの敵ではありませんから」
こやつの言葉信じてもよいのだろうか? しかし、敵意や殺意は感じられんな。ここは穏便に済ますか。…この奇抜な格好はどうにも胡散臭いが。
「いきなり御無礼どうか御勘弁下され」
「いえいえ、あなた方の時代にこんな服の人などいないでしょうから警戒なさるのも無理ないかと」
ふむ、心の技量は広いようだな。
「して、お主にちと訊きたい事があるのだが」
「なんでしょうか?」
「この大きな駕籠はどうして動いているのだ? 見たところ人の力でも馬の力でもないのであろう?」
「これはですね、電車と呼ばれているものです。動力は電気を使いますがこれは私の意志で動きます」
電気? 電気とは何だ? 聞いた事も無いが…
「電気とは何なのだ?」
「雷をかなり弱めた物、ですかね?」
か…雷!? 雷を使うのか!?
「まあ、正確には色々あると思いますが…。おや、お迎えが来たみたいですよ」
「迎え?」
迎えとは何の事だ?
「源右衛門、そんなところで何をしておる」
その声は…
「殿!」
「皆が待っておる、はよう帰るぞ」
「殿、僭越ながらお尋ね申します。我々は関ヶ原で合戦の最中だったと思われますが、あの後手前どもはどうなったのでありましょうか」
「儂らはな合戦場で皆討ち死にしたんじゃ」
「…」
「大将の首は取れんかったが、もうそんな事はよい。のう、源右衛門よ、合戦の前みたく皆で茶や俳句を嗜もうではないか。お前がいないとどうも皆、心の底から楽しめんようじゃ。…勿論、儂もな」
「殿! ありがたき幸せに御座います」
「よし、では皆のところに帰るとしよう」
「御意」
殿の後を付いていく途中に振り返ってみたが、そこにはさっきの駕籠と奇抜な格好の男はいなかった。あれは一体? まあいい今は殿にお供するのみ。
殿、ずっとお供させて頂きます。




