杉の木100年の恋
「100年後姿形は変わってもまたここで会いましょう。」
そう言い残し、彼女は死んだ。
僕は一人ただ100年が過ぎるのを待っていた。
春の桜
夏の海
秋の葉
冬の雪
そのすべてを何十回も見た。君のいない1年は恐ろしく長く感じ、どうしようもない孤独と恐怖が僕を支配していた。それでも僕は死なない。いや死ねない。
どうする事も出来ないまま僕は年齢を重ねていった。
「ママァ、この杉の木とっても大きいね!この木の下でお昼ご飯食べよ」
やっと100年がたったのだとこのとき僕は気づいたのだった。