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追放された最弱スキル〈保存庫〉で世界の秘宝を独占しました ~気づけば誰も勝てない最強冒険者に~  作者: 妙原奇天


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第14話 激闘 ―秘宝の真価

 天地を震わせる咆哮が王都を揺るがした。

 黒き巨影――邪竜は、広げた翼で空を覆い、赤黒い炎を吐き出した。

 炎はただの火ではない。瘴気を孕み、触れたものすべてを腐らせる“破滅の焔”。


 「来るぞ!」

 ルークは盾を掲げ、仲間を庇った。


 「エテルナ!」


 黄金の盾が光を放ち、炎を押し返す。

 炎と光が激突し、轟音と共に衝撃波が広がった。

 背後で怯えていた兵士や民衆が、その光景に息を呑む。

 「本当に……防いでいる……!」


 だが、炎を防ぐだけでは勝てない。

 ルークは保存庫に意識を向け、槍を呼び出す。


 「穿て、グランディア!」


 漆黒の槍が蒼雷を纏い、邪竜の首筋へと突き抜けた。

 稲妻が走り、巨鱗が裂け、血が雨のように降り注ぐ。

 邪竜は苦悶の咆哮を上げ、王都の石畳を割るようにのたうった。


 「やった……!」

 兵士の誰かが声を上げた瞬間――邪竜は尾を振り抜いた。

 大地が砕け、瓦礫が飛び散る。

 騎士団が押し潰されそうになるが、その前にイリーナが立ちはだかった。


 「させるものか!」


 紅のマントを翻し、彼女の剣が閃く。

 尾の直撃を受け止め、火花が散った。

 「ぐっ……!」

 全身に衝撃が走るが、彼女は踏みとどまる。


 「イリーナ!」

 ルークが叫ぶ。


 「大丈夫だ! 英雄の背を守ると誓った! ここで退くわけにはいかない!」


 彼女の必死の踏ん張りに合わせ、ルークは再び槍を投げ放った。

 稲妻が尾を打ち砕き、イリーナを襲う衝撃を散らす。


 * * *


 だが邪竜の力はそれだけではない。

 巨体を震わせた瞬間、空気そのものが歪み、周囲に黒い結晶が浮かび上がった。

 「……瘴気結晶か」

 リリィが顔を青ざめさせる。

 「触れれば魂を蝕まれます! 下級兵士では近づいただけで命を落とす……!」


 結晶は次々と地面に突き刺さり、毒の霧を撒き散らす。

 兵士たちが悲鳴を上げ、倒れていく。


 ルークは保存庫から魔導書を呼び出した。

 「なら――俺が消す!」


 魔導書が光を放ち、ページが自ら開く。

 “概念改竄魔法”。

 ルークは掌をかざし、声を放つ。


 「毒よ、存在を失え!」


 霧が一瞬にして蒸発した。

 結晶は砕け散り、空気が浄化される。

 人々は歓声を上げた。

 「すごい……瘴気まで……!」


 ルークは冷静に槍と盾を構え直した。

 だが額からは汗が滴る。

 (……魔導書の力は強大だが、消耗も大きい……)


 イリーナが横に立ち、息を荒くしながら笑う。

 「でも、これで人々は守られた」

 リリィは両手を掲げ、光を放った。

 「癒しの光よ!」


 兵士たちの傷が癒え、倒れていた者たちが再び立ち上がる。

 「俺たちも戦える!」

 「英雄様に続け!」


 人々の士気が一気に高まった。


 * * *


 だが、邪竜は怒り狂っていた。

 巨翼を広げ、空へ舞い上がると、王都全体に巨大な魔法陣を展開した。

 「……まさか、千年前に国を滅ぼしたという“破滅の黒炎”を……!」

 イリーナが顔を青ざめさせる。


 天空に渦巻く漆黒の炎。

 降り注げば、王都そのものが焼き尽くされるだろう。


 ルークは剣を抜いた。

 「なら……全てを斬り裂く!」


 銀光を帯びた神代の剣が唸りを上げ、彼の全身を雷のように駆け巡る。

 保存庫の奥から力がさらに湧き上がり、五つの秘宝が同時に共鳴した。


 「行くぞ……!」


 ルークは空へ跳躍した。

 槍が雷を放ち、盾が炎を弾き、魔導書が空気を操り、鎧が彼の体を加速させ、剣が全てを断つ。


 五つの力が重なり、まさに“神代の英雄”が現世に蘇ったような姿だった。


 「俺は……無能じゃない!」

 「俺は、追放されても立ち上がった英雄だ!」


 咆哮と共に、剣閃が天を裂いた。

 黒炎を纏った邪竜と、稲妻を纏ったルークが激突し、夜空が白く閃光に包まれる。


 大地が揺れ、王都全体が轟音に震える。

 人々はその光景を見上げながら祈るように声を上げた。

 「勝て……! 英雄ルーク!」


 * * *


 だが、邪竜の力はまだ底を見せてはいなかった。

 咆哮と共に、空が裂け、瘴気の嵐が吹き荒れる。

 その中で、ルークの体は押し返され、地面へ叩き落とされた。


 「ルーク!」

 イリーナとリリィが駆け寄る。

 鎧が砕けかけ、血が滲んでいた。


 だが、ルークはゆっくりと立ち上がった。

 「まだだ……まだ終わってない」


 彼の瞳は、決して折れてはいなかった。

 五つの秘宝が再び光を放ち、保存庫の奥がさらに強く脈動する。


 ――そこには、まだ誰も知らない“最後の切り札”が眠っている。

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