表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された最弱スキル〈保存庫〉で世界の秘宝を独占しました ~気づけば誰も勝てない最強冒険者に~  作者: 妙原奇天


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/18

第12話 封印破砕 ―最終決戦前夜

 ――その日は、不吉な風で始まった。


 王都の空は朝から曇天に覆われ、重く沈んだ雲の間で雷が唸っていた。

 人々は市場で囁き合う。

 「まただ……封印が揺れている……」

 「昨夜も大地が震えただろう? もう長くは持たない」


 王城の尖塔に備えられた監視塔からは、絶えず黒煙が上がっていた。封印のある“黒き大渓谷”からの狼煙だ。

 邪竜――封印されし最凶の存在。

 その復活が目前に迫っていた。


 * * *


 謁見の間に呼び集められたのは、王と重臣、そして騎士団の将たち。

 ルークもまたそこに立っていた。

 彼の隣にはイリーナとリリィ。背後には各地から集められた冒険者や兵士たちが控えている。


 「封印の鎖は三度震え、もはや限界です」

 老練な宰相が震える声で報告した。

 「すでに渓谷の周囲には、邪竜の瘴気に侵された魔獣どもが群れを成しております。明日には……本体が目覚めるでしょう」


 ざわめきが広がる。

 だが王は静かに手を上げ、それを制した。

 「諸君、恐れるな。我らには英雄ルーク殿がいる」


 その言葉に広間の視線が一斉に集まる。

 ルークは静かに頷いた。

 「必ず倒す。俺の保存庫には、そのための力がある」


 イリーナが剣を握りしめ、毅然とした声を放った。

 「私たち騎士団も全力を尽くします。英雄の背を守るために!」

 リリィは胸の聖印を握り、祈るように続けた。

 「神の御心も、きっと彼を選んでいます……」


 群衆の中に、一瞬、惨めに俯く影が見えた。

 ――旧勇者パーティ。

 彼らはもはや声を上げることすらできず、ただ人々の嘲笑を浴びて震えていた。


 * * *


 その夜。

 ルークは城の高楼に登り、一人で夜空を見上げていた。

 遠くの地平線、黒き大渓谷の方角から、赤黒い光柱が立ち昇っている。

 まるで空そのものを汚染するかのように、禍々しい瘴気が広がっていた。


 (……あれが、邪竜の力)


 ルークは目を閉じ、保存庫へと意識を沈めた。

 虚空の奥――。

 すでに得た剣、魔導書、鎧、槍。そのさらに奥に、かつてないほど巨大な光が脈動しているのを感じた。


 ≪英雄よ。汝は最終の扉を開く覚悟があるか≫


 重く響く声。

 保存庫そのものが問いかけているようだった。


 「俺はもう迷わない。追放され、無能と呼ばれた俺がここにいるのは……この力を使うためだ。人々を守り、邪竜を討つ。それが、俺の答えだ」


 光が弾け、虚空が大きく開く。

 現れたのは――黄金の盾。


 表面には神代の象形が刻まれ、内側からは暖かな光が溢れていた。

 「これは……」

 イリーナが息を呑む。いつの間にか背後に立っていた彼女の目は驚愕に見開かれていた。

 「伝承にある“永劫の盾エテルナ”。邪竜の咆哮をも退ける唯一の盾です!」


 ルークは手に取った。

 重さはなく、むしろ全身が守られるような安堵を覚える。

 「……これで、揃ったな」


 剣、魔導書、鎧、槍、そして盾。

 神代の秘宝が彼の手に五つ集った。

 保存庫の底から湧き上がる力は、もはや人の域を超えていた。


 イリーナが静かに告げる。

 「明日、邪竜が完全に目覚めるでしょう。決戦の時です」

 リリィは祈りの声を重ねる。

 「どうか……あなたに勝利を」


 ルークは夜空を見上げ、赤黒い光を睨み据えた。

 「勝つさ。俺を追放したあの連中に、“無能”じゃないと証明するために……いや、それ以上に――この世界を守るために」


 風が吹き抜け、盾が淡く輝いた。

 最終決戦の夜が、ついに幕を開けようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ