7 楽しい生活、寒いけど。
落下して最下層に到着したニアは、死んで原型も止めてない圧死した死体の中から、ごそごそといろんな物を生活用品として、二日目の早朝から集め始めた。
寒かったので、服を失敬し、マフラーを回して何か城よりもリッチではないかと思い出した。
なにより、城には服がない。何か凡ミスした服しかない。
食べ物は実を食べている映像を思い出して食ってみた。食べ方は、黄色い実は炒め、赤い実は蒸し、青い実は茹で、緑の実は調味料にするため、細かく潰す。
とりあえず、鉱山が近いのか、活火山の、小さいのがあったのでそこから焼き石をとってきて、鉄板の上に黄色い実セットし、炒めると、塩らしくなった兵糧が出来上がった。
初めて実を一口食べてみると、黄色い実は水分量が多く熱々で、豚肉のような味さえした。
「おおおお美味しい。城にいた時はサラダとか食ってたのに、兵糧がこんなに美味しいのか!」
ニアは朝の支度を済ますと、一人で戦利品を持ってくる仕事に行ってくる。相手は死体だが。
「今日は茹でる大量の取れた青い実のために、竹づつから水を貯める作業だな。なんか、自分のキャリアにあった仕事をしているようで充実しているな。」
一人事を恥ずかしがらず、そんなことは頭にはいってなく、今日とて昨日の大雨で、霧ではなくちょっと降った雨粒に、心を燃やすニアである。
「よし!この底を補強したバケツで茹でてみよう!」
青い実の総数、26個。
お玉風でゴロゴロ動かしていくと、お湯はコロッケレベルの温度になり、火加減を間違えたニアは、自信なさそうに青い実の完成形を手で割って食べることにした。
「うん、意外といける。」
とにかく甘い。青い実は茹でると甘くなるのだ。
「たくさん作ったはいいけど、どうやって保存するんだ?というか、腐るよね、絶対。」
ニアは甘いので、青い実をコンポートすると、次は赤い実だが、最下層で活火山により、温泉になっている所に、丈夫な袋に入れて、五時間待った。
今度は上手く出来た。
ホクホクしてじゃがいもっぽい。
緑の実は擂り潰す方法を発案するまで、2ヶ月かかった。
加工の方法によって、緑の実は味が変わるのだ。
それにしても寒いが、凍死するぐらい寒くないので、ニアは城よりも気に入ってしまった。
群雄割拠の戦国時代なので、死体なんてどっかに転がってるもんだし、悪魔が貧しかったりするのは普通である。