6 落下
ナンシーはニアをコンクリートの正方形の灰色の上に見つけた。
悪魔の国には、コンクリートの正方形のブロックがくっついたり、離れたりして浮遊している。
ニアはナンシーが来ても、笑うだけで、何にもナンシーに咎めなかった。
「ここじゃあ、透視出来るものがなかったから、雨が少し降ったときに、それを掬って透視をしてみた。結果は、いつも通りだった。こんなことしか出来ない悪魔なんて、普通の悪魔は僕のこといらないのにさ。」
正方形のコンクリートの上でナンシーに話しかけた。
「どうした?ナンシー?そこに何かあるのか?」
ベントが急にナンシーの後ろから気配を殺してやってきた。
「べ、ベント様!弟のニア様は、どうするおつもりで!」
ナンシーはベントに近づこうとしたが、ベントは大剣の柄を握りしめた。
ナンシーは自分の運命を呪った。
「最後に言わせてください。城主。」
ナンシーは規則的な悪魔の挨拶を空中でやると、こう言った。
「ニア様は、誇るべきです!まだ、います!助けるものです。」
「おまえ。」
ベントは凄い目付きで言った。
「将の息子をなめてないか?まあ、いい。おまえは俺の分門に下れ。」
ベントは炎の虎に引かれた。
誰にも挨拶もしていないのに、ニアは今生を離れた。
落下していく意識の中、ニアは思った。
「もし、また兄さんにあうことがあったら、その時は。悪魔の本当の姿で会いたい。ナンシーにも。」
霧がかかっていた。
「痛っ!」
ニアが落ちた第一声がこれだった。
ニアが面をあげると、コンクリートは浮いてない。
ニアは悟った。ここは最下層であった。
すぐに戦禍で死んだ兵の中から、兵糧を、見つけ出し、ポシェットから出しては、むしゃぶり食った。ナンシーには言ってないが、一週間ぶりの食事だった。
今度は水を探そうとして、死んだ兵を回り、竹づつを見つけ、飲んだ。
ニアは分かった。
「どうしよう、寒すぎる。」
ニアは死んでいる人から、厚手の服を厳選し始めた。
ニアは温かくなると、安心と適度な快適さで、眠った。
「翼の無い悪魔がいるって、バレたな。兄さんのことは言ってないけど、もう上にいくのは無理だろう。」
ニアは眠りに入る前に少し考えた。
「自分で決まった物ではなく、色々見ていいんだ。今、世界が見たい。でも、」
ニアは寝ながら言った。
「そんなことしても、兄さんに生かされていた僕は何日生きられるのだろう?ここで。」
最下層の床の上でニアは寝た。