5 一国の主
5 一国の主
「さあ、最後の戦闘だ、気抜くなよ。」
ベントがいうと、兵たちが各々の武器を持って、もう、勝ちどきをあげてた。
最後の、敵の城を上洛させようとあらゆる手を使い、確実にベントは功績をあげていた。
「では、」
いきなりハンマーが入り口を貫通した。ベントのことが兵に向かって。それも10や20じゃない。100ほどの巨大ハンマーが狂ったように城を破壊しながら、敵陣であるベントの兵を吹っ飛ばしていった。
「血迷ったか!?」
「将!ここは危ないです!此方に!」
四方八方に散策する兵たちを残して、自滅していく城を見ていた。
「まさか、城の中はどうなってんだ?」
「え、?食糧を蓄えてたんじゃ。」
一人の兵が、城の中に突入した。
「へへ、自滅されても面白くないんで、ここで一人二人関係ないだろ。」
死体の腐った匂い。
餓死した人間で、城内はごった返していた。
ナンシーはハルバ城内を羽で行き来していた。
「ニア様!ニア様!」
最後の決戦ということで空になった城内で、ナンシーは一週間前にいなくなった、ニアを全開で探し続けた。
番をしている兵を見つけ、聴いた。
「将が何にも生やしてない状態の悪魔を背負ってたぜ、暗くてよく見えなかった。」
「それはだれですか?!」
「ラルミ、一週間前に、だろ。約束とかしてないか?」
ナンシーは少し落ちかけた。
「そんな。」
「ニア!一国の主になったぞ!これでもう俺に障害物はないようだ!ははは!」
「良かったね、兄さん。じゃあ、約束だよ。」
ニアはにっこり笑ってこう言った。
「僕は兄さんに殺されるの?お願い、兄さん!兄さんは僕を殺しちゃだめだ!散々何だ!戦の仕方が!最近!ずっと見てた!」
ベントは笑って言った。
「あははははは!何言ってんだか!悪魔の殺し方なんて何でもいいだろ?だって。」
ベントは笑ってない。
「死ぬのは一緒なんだから。」
番の兵は死んでいた。
その傍らには、鏡の部分が壊れた、鏡の入った、コスメが散乱していた。
「生きておりますか?!ニア様!」