4 ハルバ城にて
4 ハルバ城にて
「今日の勝利に乾杯!」
兵たちがビールを飲んで楽しんでいると、ナンシーがニアのため、ビールジョッキを二つ持って、飛ぼうとした。
「あれ?ラルは今日も一緒に飲まないのかね?」
「こら、ベント様の前だぞ。」
ナンシーがお辞儀をすると、ニアの部屋まで飛んで行った。
ハルバ城の中は綺麗で、立体感がある。もちろん階段はなく、悪魔は翼を手足のように使っているので、移動に差し当たりはない。
ナンシーが広い立体通路を下へ下へと下がっていくと、少し回って、目的の部屋へたどり着いた。
本人は知らないが、悪魔一匹暮らすには余りにも小さい範囲。
「私は、将であるベント様の弟のニアのお世話係り。」
ナンシーはその暮らしに浅さかに難儀をといたこともあった。
「ああ、ナンシー。ビールを持ってきてくれたんだね、つまみが出来た所だよ。」
「新鮮なイカとナッツの甘辛炒め、素晴らしい出来です。ニア様。」
ナンシーは少し温くなったビールをニアと飲んだ。
「今日は、一騎打ちで終わったね。透視してた。」
「今日は何で?」
「この小さな鏡で。」
「私の私物です、返してください。」
「いいじゃん、ちょっと触っても!って、殴ることはないだろ!」
「女のコスメに何かしようとしたら、本気で怒ります!」
「もう、怒ってるよ!」
「そうですね。」
兄の人選の結果だった。ナンシーが無口なのは。それぐらいニアは分かっていた。
「ナンシー、もし僕のことがバレたら、庇わないで逃げるか、ベントに寝返ってね。お願いだよ。」
「はい。」
早朝になると、まだ仕事をしていたニアをナンシーは見つけた。
「どうなされたのですか?ニア様?」
「兄さんにこれまでやっておけって、言われたんだよね、もうちょっとで探し出せるから。朝食、お昼にして。」
ニアは自分の黒髪をかきながら、ナンシーにそんなことを言った。
「根をつめてはいけませんよ。」
最近多いので、ナンシーは不安になった。