3 ベント
3 ベント
「将!ここから200kmに敵陣が張ってございます!」
兵がこう伝えると、兵糧である実で作ったカレーが配られた。
「カレー粉まで探すとは、流石俺の弟。」
「どうなされたのですか?将軍様。」
ベントはカレーを皆で食い終わると、大きな声で言った。
「野郎共!ここであったが100年目!勝ち声をあげようぞ!」
「おう!」
いつも通り作戦会議に入る。
「こっちに障害物がありますね。もし、死角から入られたら、我が兵の損傷は大きいかと。」
「この道はだめだな。じゃあ、何か上昇して、落ちるか、皆で。」
「何時もいつも、冗談なのか分からない戦法を思い付く、我が将が言っているのなら。」
「何感傷にふけってんだい、作戦説明に移るぞ。落下していく反動で、兵の翼で空気を動かして、敵軍の動揺をうませる。それから、剣隊は一軍、その次に得物が多いから、槍軍だな。」
軍陣が出来上がったら、いよいよ戦闘である。合戦である。
「前へ進め!」
剣を持った軍人たちが死角になるように悪魔の翼で上昇していくと、ベントは後を追う。ベントの武器は赤い色の大剣、「赤鋼」である。
普通は翼の空気抵抗で持ち上がらないが、ベントはバカ力でどうにかしている。後は「能力次第」だ。
ベントは不審な物を見た。
「伝令、前の副将に伝えてくれ。止まってくれ。何か将がいる。」
「待ち伏せでしょうか?」
「多分な。」
伝令がいくと、ベントは能力を発動。炎の虎に乗って、高スピードで兵の中を駆けていく。
「速え。」
「なんだ?今の?」
新兵がザワザワしてると、一兵が教えてくれた。
「あー、あれは、将、ベント様の能力だよ。」
「将の血筋には、普通外の力が使える者がいるという、それがあの能力か。」
「どうどう。」
うなる赤い虎を急停止させ、興奮を押さえると、ベントは宙にまた浮かんだ。
「どうしたんだ?将と将は兵の実力を考えて戦いに挑む所だろ。そんなに血気盛んじゃ、兵たちも心配しますよ。」
返答は剣で帰ってきた。
20ほど切り結んだ所でベントは利害を忘れた。目を赤く染め、剣に虎の力を、吹き飛ばせる。
5倍にも伸びた大剣、「赤鋼」が、命の鼓動のように、炎を波立たせる。
「おまえには消えてもらう。」
敵は、一突きで終わらせるつもりだ。
悪魔の黒い翼を使って、ベントは赤鋼と突っ込んだ。敵は、断面を燃えたたらせて、黒い灰に一瞬でなった。
能力を押さえると、ベントは剣を鞘におさめる。
「勝利だ!!!」
兵は豪快に歓喜した。