2 ニア
2 ニア
「ニア、もう少しだぞ。速く両親から逃げよう。」
ニアは起きた。
「ニア様、ご朝食が出来ておられますよ。」
「…、ナンシー、何時もの所においといて。」
ニアはベッドから起きると、テーブルについた。
「いただきます。」
ニアがサラダサンドをもぐもぐしてると、ナンシーは部屋のない掃除をしていた。
ここには、だだっ広い世界が広がっている。
四角い世界で、正方形の形をしていて、とりわけ広い。ベッドとテーブルを足しても全然余裕があり、仕切ってシャワー室なんかも完備している。
ニアがサラダサンドを食べ終わると、ニアはまた寝ようとしたので、ナンシーは怒るに起これない。
「日々の鍛練を怠ると、お兄様から雷が落ちますよ。剣をふらないのですか?」
「空中にとどまってられないと意味ないんだよ。基礎訓練ならしたから。ちょっと休むだけ。」
「さすがは将の申し子ですわ。」
ナンシーは背中から、バカッと黒い巨大な何かを出した。
悪魔の翼だ。
彼らは自分たちのことを、「人間」と同じように、「悪魔」と呼んでいた。
もちろん、天使の概念はない。
彼らは実のことを兵糧と呼んでいた。
悪魔の国に名前はなく、ざっくばらんに皆、世界と呼んでいた。
そんな悪魔、ニアはナンシーが軽々と壁をパタパタ上昇するのを見ていた。
悪魔であるニアには、生まれつき羽がなかった。
ニアは何時殺されてもいい身分だったし、そのため、両親から乱暴を受けた。
普通は悪魔は殺すものだが、兄のベントがニアと逃亡しようとした時、兄のベントは自分の能力を発現させ、長い両親との戦いに勝った。
兄弟はある一国の将に子分にしてもらい、兄はその実力で、元将が帰らぬ人となった時に、自分から志願して、決闘の末、その国の将となった。
ニアは反旗の疑いを起こさぬようという名目で、閉じ込められている。ここの国に落ち着いてからは、さらに。
ニアの能力は透視である。
つまり、鏡かガラスのような光を反射する物があれば、何となく遠くの物が何処にあるのか分かる能力である。
この能力は、兄を喜ばせた。
それが、兄に能力で助けることが、ニアの日常だった。
「兄さんは何て?」
「はい。兵糧を見つけてほしいと。」
「まかせて。」