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当たり前、当たり前

作者: 東雲 東風

0時

いつも通り家族の洗濯物を干す。

酒に酔った父親と明日の弁当を用意する母親の話し声が聞こえてくる。

父:「〇〇(作者の名前)はよくこんな遅くまで起きて洗濯物干せるな」

母:「課題もしながらいつもしてくれてるでしょ?」

父:「家事なら『普通』か」

母:「は?昭和の考えでも言ってる?」

父:「いや、普通でしょ?」

母:「そうやって酒ばっかり飲む時間あるなら家事の一つくらいしてくれれてもいいんで?」

父:「いや、それは家族じゃけんみんな(自分以外)がするのが『当たり前』だろ?」

...やっぱり当たり前らしい。

どこまで行っても父親からしたら僕たち兄弟(いや家族も他人も全員)マリオネットにしか見えてないのだろう。

誰かが自分のためにしてくれる、それが当たり前...

洗濯物を干し終わって父親が酒を飲むテーブルの横を通るとき

「洗濯物干してえらいな」なんて言ってきた。

数秒前まで当たり前なんて言っていたやつが。

だからこう言ってやった。

「当たり前をしただけ、お父さんの言う当たり前を」

その瞬間酒の入ったグラスをテーブルにたたきつけて怒鳴ってきた。

「誰がそんなこといつ言った?!」

その発言に母親はあきれていた。

「さっき、ほんの数分前にあなたが言ったことですけど?」

「わしはそんなこと言うとらん!」

「ならお母さんに聞いてみようか?僕の言うことは信じないでしょうから」

そう言って母親に聞くと母親は「言ってた」と言ってベットに行ってしまった。

「自分が言ってることもわからず怒鳴り散らかすくらいなら酒飲むのやめて寝たら?」

そういうと父親はどすどす歩いてキッチンにグラスを投げ込み

「わしが言ったんじゃの当たり前じゃって!」

そういってバタンとドアを閉めて寝た。

これがかれこれ七年。

会社で疲れてるんだろうってこともよくわかる。

未熟な僕でも少しくらいわかってるはず。

でもだからって家族がしてくれてることを当たり前、って言われるのは納得がいかなかった。

世間はそうじゃないのかもしれない。

父親が正しいって思う人もいるだろう。

...ただ僕は、何もかもを当たり前と思う人間にはなりたくない。

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