第八話 サッカーの楽しさ
「あざしたー!」
礼が終わりお互い握手をした。
「いやぁ、まさか1点で抑えられるとはね。
あの速水くんのダイレクトシュートも凄かったけど
僕の高さに付いて来れたキミは凄いよ!
吉田くんだっけか?またよろしくね」
星野は吉田に握手しながら話した。
「そらぁ〜どうもなッ!!だが、次は0で抑えるからよろしくな、星野さんよー!」
吉田は星野にギラギラした目で言い放った。
「よっしー、今星野に褒められてなかった!?
良かったなぁ〜」
ナツは肩を組みながら吉田に言った。
「褒められてねーよ!嫌味だ嫌味!
あいつムカつくわー!」
秀人はみんなを集合させた。
「明日はオフを取りたいと思ってる。
各自休暇を取って身体を休めてくれ」
「おい!明日何かしねー??オフだぞ!」
金田は2年みんなに声かけた。
「良いな!何するよ?」
仁は帰りの準備をしながら返事した。
「サッカーしよーぜ!!」
にっこりしたナツがこちらを見ていた。
だがそんなナツをみんなは無視しながら
会話を続けた。
「俺と加藤はスパイク買いに行く予定だったんだけど
みんなも行く?なぁ、獅鷹は?」
風間は獅鷹を見ながら聞いた。
「そうだな、俺も行こうかな?練習用のストッキング欲しかったしな」
獅鷹は自分のバックを持ち上げた。
「いや、サッカーしよーぜ!!」
振り向くとまだこちらを見ているナツ。
「じゃあ、明日昼どっかで食べてから行こうよ。
11時くらいで良いか?」
仁はスマホを見ながらみんなに予定を確認した。
「おっけ!じゃあ、明日また連絡するわ」
加藤も同じくスマホに予定を入れていた。
「じゃあ、その後サッカーしよーぜ!!」
ナツはまだいた。
「うるせーよ!さっきから聞こえてるわ!!
明日オフって言っただろ!明日は休み!お前も来い!」
金田は大声でナツに怒鳴った。
そんなナツをゲラゲラ笑っていた2年生達だった。
-次の日-
11時、、、
待ち合わせ場所にはみんな揃っていた。
ナツを除いてだが、、、
「おい!あいつなんでいねーんだよ!」
金田が仁に聞く。
「いやいや、知らないわ!電話出ないんだよ」
スマホで時間を確認した。
「おー!こっちこっち!」
手を振るナツが離れたとこにいた。
「こっちこっちじゃねーよ!お前がこっち来いよー!」
金田はナツに突っ込んだ。
急ぐ様子もなく歩いて来るナツに
金田はイライラしていた。
「ナツ、まさか飯とか食べてねーよな??」
風間は笑いながら聞いた。
そんな手にはマックのポテト。
「おっ!リク!鋭いなー!ポテトいる??」
ニヤニヤしながら話すナツに
また金田が呆れていた。
「おい、お前まじで何やってんだよ!今から飯食いに行くって話したろー!?」
「達也!大丈夫だって!俺食べれるから」
全く気にしないナツだった。
そんな自由な行動がナツらしい。
いわゆるマイペースと言う事。
中学からの友達だからこそわかってる。
仲良いこの7人だから
あのサッカーの意思疎通が通じるのかもしれない。
「とりあえずファミレス行こーぜ」
仁はこの近くのファミレスをスマホで検索した。
ファミレスに着き昼ごはんを食べながら
これまでの学校だったり部活だったりの話をした。
「いやぁ、でもナツが来て変わったよな。
部活の雰囲気もだけどさ」
風間は言う。
部員誰もがそう思ったのかもしれない。
もちろんチームも強くなった。
しかし、それだけじゃなくサッカーが楽しいと久しぶりに
心から感じた。
「そう?俺はみんなとまたサッカー出来てまじで楽しいよ!先輩達もすげー好きだし」
ナツは嬉しそうに語る。
「やっぱさ、サッカーもそうだけどスポーツって
強いとか勝ちにこだわるのも
もちろん分かるんだけどさ。
でも、根本的に楽しくないとやりたくないじゃん?
楽しいが先行すれば上手くもなるしヤル気にもなるし
何より仲間と勝った時のあのなんつーのかな!?
嬉しさって1人じゃあ味わえないじゃん?
新開にいた時はみんながライバルだった。
それもめちゃくちゃわかるんだけどさ」
みんなの顔を見たナツは笑顔で言う。
「それでも仲間じゃん!
勝った時は全力で勝ちを分かち合いたい!
それがサッカーじゃん!!」
声が大きくなるナツに
周りの人の目を気にしながら
みんな照れくさそうだった。
「お前、ホント何も考えてなさそうだよな。
今を生きる!みたいな。
まあお前らしいけど!」
金田もそんなナツの言葉に賛同するように
答えた。
昼ご飯を食べ終え、
スポーツショップへ向かう。
このショップは
中学の時からみんな通っているお店である。
なので店長とは仲がいい。
「いらっしゃいませー!って、仁!
ってみんな一緒か!珍しいな!」
店長の岡田さん。
「オカさん!こんちわ!」
後ろからナツが手を挙げて岡田に挨拶した。
「ん?ナツか!?ナツじゃーねーか!何やってんだ?
お前ー!新開が神奈川第一と一緒につるんで大丈夫なのかー?」
久しぶりに見たナツに
岡田は嬉しい気持ちが溢れ出ていたのと
違う学校同士が大丈夫か?と気になっていた。
「大丈夫!大丈夫!俺今神奈川だから!」
「えっ!?お前今神奈川なのか??新開やめたのかよ!?
お前レギュラーだったのに、、、なんで、、、??」
岡田はなぜ新開をやめ神奈川でサッカーをしているのか?
もちろん気になった。
なぜやめたのか。
理由がなんなのか?なんてわからない。
でも、ナツの事は前から知っている。
だからこそ
あえて詳しいことは聞かなかった。
どーせ、ナツらしい理由なんだろうと察した。
何故かと言うと
みんなといるナツの姿とナツといるみんなの表情が
今を物語っていた。
そんな事よりも
この7人が揃っている姿に昔を思い出し
少し涙が出そうになった。
親のような気持ちだった。
「岡田さん、新しいモデルのスパイクあります?
サイズも確認したくて」
「俺も頼んでたの入ったって連絡ありまして!あのナイキのスパイク!」
風間と加藤は自分のスパイクを探しに来たので
棚を見ながら探していた。
少し感動に浸っていた岡田は我に返ったように答えた。
「おーごめん、ごめん!裕次の入ってるよ!リクのモデルの新しいスパイクも出てる。ちょっと待っててな!」
そう言ってバックヤードへ探しに行った。
ナツは岡田にニコっとして言った。
「じゃあ、また買いに来るね!」
そう言ったナツ。
「いや、お前何も買ってないだろー!」
岡田は笑っていた。
「まあいいや!
またみんなで来てくれよ。夏の大会ももうすぐだろ?
頑張れよ!」
岡田はみんなに激励メッセージを伝えてた。
「オカちゃん、とりあえず正月空けといてよ!
試合観にね!」
正月を空けておくと言う事は
県代表としてトーナメントを上がっていると言う事だ。
その言葉に
岡田は目を大きくし驚いたが
なんだかこいつらならありえると言う気さえ感じていた。
「頼むぜ!」
ナツは手をグーにして突き出した。
「あぁ、わかったよ!」
笑いながらナツ達は店を後にした。
「おーどーする?これから」
昼ごはんも食べ、スポーツショップで買い物して
今日の予定を終えたので
これからの予定を話していた。
「んー、、、サッカー!」
「お前は、まじでそれしかねーのか!?」
ナツのお決まりフレーズに
金田も相変わらずのツッコミを入れた。
「まあ、ちょい買ったもん試したいし
ボール蹴りたい感はあるな、、、」
「リク、俺も昨日の試合から蹴りたりないんだわ!
やろうぜ」
風間と吉田も同じ事を言うと
獅鷹は静かにうなずいた。
「俺も蹴りてーな、ナツやろーぜ」
加藤も新しいスパイクを試したかった。
「ゆーじ!やろうやろう!
仁も達也も来るだろ!」
ナツはそんな加藤をものすごく見た。
「いやいや、わかったよ!!やるやる!やるよ。
もうしょうがねーな。
今日ヒデさんオフしろ言ってたけど、、、
なんか言われたらナツのせいにしよ。
じゃあ学校行くべー!」
金田は仕方ないと言いつつ誰よりも先頭に立って
学校へ向かった。
「結局こうなるんだよな、まあそれが俺らか」
そんな事を笑いながら呟く仁だった。
-第八話 サッカーの楽しさ- end...