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第三話 神奈川第一高校 VS 新開高校

試合時刻になり両校生徒が

グラウンドで整列した。


「ただいまより

神奈川第一高校 対 新開高校の試合を始めます。

30分ハーフ。

両校フェアプレーでお願いします。

それじゃあコイントスでボールかグラウンドか決めましょう。オモテ神奈川第一、ウラが新開で」

そう言って審判はコイントスをした。


コインはウラだった。


審判は新開のキャプテンを見た

「じゃあ、ボールで」

新開はボールを取り、

神奈川第一はグラウンドをそのままでキックオフになった。


「お願いします!!」


両校挨拶が終わりポジションへ向かう。

ナツはワクワクしすぎて顔はニヤニヤしてた。

そんな顔をさっきナツに絡んできた新開の生徒は

めちゃくちゃ睨んでいた。


「おい!ナツ!アイツ本当知らないのかよ。

すげー睨んでるぞ。恨みすぎだろ」

仁がナツにもう一度聞いたが

ナツ笑いながら

「全く覚えてない!!」

本当に覚えてなかった。


神奈川第一は円陣を組んだ

秀人が口を開いた

「ポジションは昨日のミーティング通り。

作戦も昨日話した通りだ。

俺たちがどれだけやれるか見せつけてやろう」


「おぉー!!!」

円陣も決まった。



神奈川第一高等学校ポジション


GK 1 安井健一(3年)


DF 4 佐々木圭介(3年)

DF 3 獅鷹大輝(2年)

DF 2 加藤裕次(2年)

DF 5 吉田圭人(2年)


MF 10 永井秀人(3年)

MF 11 中田勇気(3年)

MF 7 寺田仁(2年)

MF 6 風間陸(2年)

MF 8 金田達也(2年)


FW 9 速水夏樹(2年)



「ピィー!」

主審のホイッスルと共にキックオフ。


新開は右サイドにボールを回した。

そこに左ハーフの仁がマッチする。

だが新開も無理には行かない。

後ろにパスを回した。

徹底したプランが新開にはあるからだ。


秀人が指示をする。

「仁!追いかけなくて良い!とりあえず、ボールと右サイドの選手を見ていてくれ」

神奈川第一も無理に取りに行かずに自分陣地で

ボールの行方を見ている。


新開はボール回しから空いたスペースへ運ぶ。

ボール運びもやはり上手い。

3軍とはいえ新開だ。

すぐに神奈川第一陣営に攻め込んで来た。

GKの安井が後ろから指示する。

「中にボール入れさせるな!

獅鷹、加藤で中の選手見といてくれ!

圭介は勇気のカバーで!」


新開はその間を抜けて更にスペースにドリブルする。

「2人で取りに行け!」

秀人は

勇気と佐々木の2人で取り切るように指示を出したが

2人がボールの方へ動いた時、

その間スペースに新開の1人が走り込んできた。

ボールトラップからの

一気にゴールへドリブル!


そこからのシュート!!!


しかし、ボールはポストに当たりピッチ外へ。

いきなりヒヤヒヤさせる展開に

顧問の斉藤はベンチで安堵の表情をしていた。


「シュートを打たせないように外へ誘導するようにコースを潰して行こう」

秀人はそう言ったがやはり新開だ。

ドリブルでの中への切り込みが早い。

右から左からと攻め込み必ずシュートで終わる。


「点入るのも時間の問題じゃね?」

「確かにな、神奈川なんて全く攻められないで

ずっと守りに徹してる。攻めらないんだろ?やっぱ」

試合を観ていた観客はみんなそう言っている。


神奈川第一もボールを奪い攻めに転じる。

前で1人張っているナツにボールを出すが

ナツはそのボールを仁、秀人、達也、そして勇気に

ボールを戻したあと何もしない。

振り向きもしなければ

ゴールを狙いに行こうという素ぶりすらしない。

ボールをもらったミッドフィルダーは

前にボールを大きく蹴り出しから走る。

だが、走るのが遅く

そこへ新開のディフェンスが先に追いつき

ボールを取られる。

これを何度も繰り返していたが

ゴールには遠く点が入る気もしない。


「やっぱ全然ダメだな。神奈川のボール入る気がしねー」

「ボール前出し過ぎでドリブル下手くそかよ」

「あの9番も全くやる気ないよな」

周りでは神奈川の批判しかなかった。


「おい、お前ヤル気ねーのかよ?」

またナツにさっきのヤツが笑いながら話しかけてきた。

「それともやっぱり攻められない?守るの必死過ぎだろ?中盤もドリブル下手すぎでまじで練習してんのかよ。」

誰もがそう思うプレイだ。


だがナツは顔をちらっと見たあと

「今のうちに点取っといた方が良いよ。後悔するから」

ただこの言葉だけ呟いた。


新開の怒涛の攻撃は続いた。

しかし、

神奈川第一のゴールをこじ開ける事は出来ずに

前半35分を過ぎ


0-0


前半を終えた。


ベンチに戻ると

秀人から全員に言葉をかけた

「みんな、よく頑張った。我慢したな。

これで後半心置きなく攻めに行ける」

「くぅ〜やっと攻めれるわー!!

まじで退屈だった!」

ナツはストレッチしながら声に出した。


顧問の斉藤は頭の中でクエスションマークが浮かんだ。

てっきりクタクタだったり

悔しがっている顔をしてるかと思ったが

みんな顔がワクワクしていた。

これから試合をするかのような顔だった。


「ピィー!」

審判からの後半始まりの合図が出た。


「よし、ギア上げていくぞ。

10分でケリつけるぞ、、、!」


秀人のこの一言で全員の目つきが変わった。


神奈川第一の後半スタート。


ナツはボールを秀人に下げた。

その瞬間、右サイドの勇気と左サイド仁が

相手陣地へ猛ダッシュで走った!


この行動に呆気に取られた新開は一歩遅れた。


そして、秀人は大きく左のコーナーフラッグへ蹴り込んだ。そこには誰もいない。

誰もがミスキックかと思っていたが

そこに仁が走り込んできた。


「サイド走ってるぞ!!」

新開のGKは声を張ったがもう遅い。


仁はそのボールを

前にトラップして更に新開陣地へ攻め込む。

あまりの足の早さに新開のディフェンスは慌てていた。


「追いつくのかよ!!」

「マークずれて遅らせろ!」


だが、仁はドリブルで中に切り込む。

そして、センタリングを上げる!


中に入り込んで来たのは

さっき右サイドを走っていた勇気だった。


「おい!11番が中入ってきてる!

そいつにボール合わせるぞ!」

新開のキーパーがディフェンスに指示を出した!


だがボールは大きく弧を描き勇気の頭上を超えた。


「頭超えるぞ!取ったら外に出して良い!」

キーパーからの指示に

ディフェンスもボールの着地地点に

移動しようとした時だった!


後ろからものすごい勢いで走り込み

そのボールに合わせる選手がいた!


ナツだった!


空中のボールをダイレクトボレーで当てる。

そのボールは吸い込まれるように

新開ゴールへ。

キーパーはそのボールの速さに反応出来ず

立っている場所とは

真逆のゴールネットを揺らした。

後半始まって40秒ほどの出来事だった。


その瞬間、グラウンドは静寂に包まれた。

まさかあの弱小と言われた神奈川第一が

3軍とは言え新開から

先制した。


ナツは右手を掲げた。

そこへ神奈川第一のメンバーが走って集まってきた!


「よっしゃーーー!!」

「今のヤバ過ぎるだろ!」


優勝でもしたかのような喜び方だった。

新開からしたら、たかが一点かもしれない。

すぐにでも取り返せる一点。

この一点でそんな喜ぶのか?

それよりも自分達が点を入れられた事に

ボー然としていた。


この一点は神奈川第一にとって大きな一点であり

チームを存続させる一歩だと言う事。


「じゃあ、もう一点行きましょー!」


ナツが自分の陣地へ戻る。


「大丈夫だ、まだ一点。大した事じゃない。

たまたま中入ったボールがタイミング良く当たって入っただけだ。修正して取り返すぞ!」

新開は再度キックオフへ向かう。


そんなやり取りを背後から聴こえたナツは

目をギラつかせながら誰かに聞こえるわけでもなく

ボソっと一言言った。


「上等だよ、やれるもんならやってみなよ」


試合は動き出す。


第三話 神奈川第一高校 対 新開高校 end...

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