第一話 動き出す
初めて連載を書いてみました。
素人作品ですが
お目を通して頂けると幸いです。
バシィーーンッ!!!
早朝から凄い音が近くの広場から聞こえた。
壁に向かって
1人の高校生が制服で
サッカーボールを蹴っていた音だった。
そこらの高校生でもこんなシュートは見た事がない。
それを学校行く前の神奈川第一高校キャプテンの
永井秀人 通称ヒデ
はその姿を見ていた。ただただ圧巻だった。
「なんて凄いシュートなんだ、、、!
あんなシュート今の高校サッカーでは見たことないぞ」
秀人はじっくりとそのシュートを眺めていた。
「いや、待てよ、、、
あれは新開の速水夏樹、、、?なんでここに?」
そんな青年と目があった。
1人でも楽しそうに。
子どものようにサッカーをする姿だった。
「おはよーございます!どーですかー?一緒にサッカーしませんかー??」
遠くから声を掛けてきた。
その話にすごく興味を持ったが
「すまない、学校に急いでいるんだ。
また今度会ったら頼むよ」
秀人はそう言ってその場を去った。
かつて神奈川県高校サッカー界では
最強とも呼ばれた高校だった。
県大会トーナメントは常に勝ち抜き
決勝ステージへ進む。
だがそれも昔の話。
その訳は周りの高校の強さにもあった?
今では部員も少人数。
試合が出来るギリギリの部員しかいなかった。
去年の3年生の引退により
部員はさらに減り
人数は、10人。
ちなみに今年の1年生の入部は0。
試合すら出来ない人数だ。
あの時の栄光はどこに行った?
そんな声も
ほかの高校や近隣住民から聞こえてくる。
「よし!集合!練習始めよう!」
グラウンドの端っこから大きな声が聞こえくる。
サッカー部だ。
3年生は永井秀人をいれて4人。
2年生は6人。
「じゃあ、
ランニングから準備体操してパス回しから始めよう」
そう言ったもののチームの士気は上がらない。
部員達はダラダラしたランニングを始めた。
「おい!みんな!声出していこう!」
「ヒデ、無理だな」
そう言ったのは3年の中田勇気だった。
「去年の3年いなくなって俺ら試合も出来ない人数なんだぜ?
それで練習もなんて意味ないだろ?」
「いや、もしかしたら、、、」
秀人が言いかけた所に勇気は
「もしかしたらなんてない。
こんな中途半端な時期で部員が入るか?新入生が入部すんならまだしも。だいたい弱いチームでやりたい奴もいないだろ。
試合すら出来ないのに」
もっともな意見だった。
秀人はこれに何か言い返したかったが何も言えなかった。
実は同じ事を思ったからだ。
でも、認めたくなかった。
悔しかった。
そこに3年の安井健一と佐々木圭介が近づいてきた。
「もう2年もあんな感じだし。
真剣にやってるのもバカみたいと思ってるだろ。
こんなグラウンドの端で練習するサッカー部なんて聞いたことねーよ、あんな強かった学校がだよ?まあ、昔の話だし、カンケーないけどさ!」
半笑いで安井は言った。
佐々木は腰に手を当てながら周りを見て言った
「人数が足りないのがな、
試合も出来なきゃモチベーションも上がらないのは
しょうがない事だよ」
今はグラウンドの半分以上を野球部が練習に使っている。
神奈川第一は今はサッカーではなく
野球部に力を注いでいる。
野球部は甲子園に出場も何度かしている。
そのせいもあって
神奈川第一は野球の強い高校として有名になってきていた。
それこそがサッカー部が弱くなってしまった原因でもある。校長がサッカーではなく
ただ単に野球派だったと言う事で
サッカー部にまでお金が回らなくなっているのだろう。
「永井くーん!」
校舎の方から女性の先生が呼んでいる。
このサッカー部の顧問。
斉藤真紀
全くのサッカーは素人。
部を存続させるためだけの顧問でやってもらっている。
「何ですか?先生」
永井は先生の下へ走った。
「実は、、、校長先生から話があって、、、」
なんだか暗い顔をしていた。
「今のままのサッカー部じゃあ試合を行えない。
つまり存続させるのはどうなんだ?って話らしくて、、、
せめて試合が出来る人数を集めて練習試合をして
結果と気持ちを示してくれ!って、、、」
なんとなくそんな気もしていた。
まさかとは思わなかった。
永井は心で思った
(まずこの話をみんなになんて説明すれば?
やっぱりって言うのかな?)
永井は部員を集めこの事をそのまま説明した。
部員達は何も言わなかった。
わかっていたかのような納得をしていた。
その日の練習は何をしたかもわからないくらいに
内容のない練習だった。
「なあ、ヒデ。どーすんだ?このままじゃあ無理だろ。
明日誰か人探すか!?んな、むちゃな話ねーだろ!
こんな引退ありえねーよ。
だいたいあの校長のせいだろ!?」
練習が終わり着替えいた勇気はイライラしていた。
「わかってる、、、家に帰って考える。
また明日アイデアを出すよ」
秀人もどーすれば良いかわからなかった。
辛かった。
-次の日-
秀人は部室でスパイクを磨いていた。
(どーすればいいんだ、、、)
見つからない。。。
なんだか朝から外が騒がしかった。
「ナツ!ちょっと待てって!今はまだいねーよ!」
その声は2年生の寺田仁
「いや、わかんねーよ!キャプテンとかならさ、
気合い入って朝練とかしてるはずだからいるはず!」
誰かはわからない声だった。
「だから違うんだって!うちのサッカー部はもう、、、」
そして部室の扉が開いた。
「おはよーございます!
今日からサッカー部入りまーす、速水夏樹です!」
(はやみなつき) 通称ナツ
とんでもないくらい大きな声だった。
びっくりした秀人もスパイクを落としてしまった。
「ほれ、いんじゃん!じん、やっぱり神奈川第一の
サッカー部は気合が違うよな!
サッカー愛って奴かな~!?」
笑いながら話すナツに
呆れながら秀人に頭を下げた仁だった。
「すいません、ヒデさん。
こいつ今日からサッカー部入りたいみたいなんですよ」
部室に寄りに来た3年生も集まってきた。
「どしたどした?じん!誰だ?」
安井が聞くと
ナツはすかさず
「今日から入部します!よろしくお願いしまーす!」
元気よく返答した。
「おー!!!まじかよ!最高じゃん!
ヒデ、これで試合も出来るじゃん!」
安井の言葉に秀人は確かに。と思った。
だが、顔には出さずに聞いた。
「ちょっと待ってくれ、どーしてうちに?
お前、横浜新開の10番だろ!?
名前も知ってる。顔だって高校サッカーで知らない奴はいない。入学したてで1年から一軍スタメンはお前だけのはず。昨日の朝、お前の練習してる姿を見た。
とんでもないシュートを放っていた」
「見たんですか!?
って、よく見たらあの時の方じゃないですか??
いやぁ、練習なんてもんじゃないですよ!
ただ遊んでただけです」
「えっ!?、、、本当だ、、、気付かなかった」
まさかの出来事に
勇気と安井はビックリして言葉失っていた。
そのくらい有名だった。
秀人は続けた。
「お前みたいに上手い奴がうちみたいな弱いチームに入る意味がわからない。ましてや学校を転校してまで。
新開は神奈川でもトップ3に入る強豪校だ。
下手したら神奈川一位だ。それなのになぜだ?」
真剣にナツに話しかける秀人。
「つまらなかったんですよ、あの学校でサッカーすんの。
ロボットみたいに言われた事やるしかなくて。
みんな勝っても心から喜びもしない気がして。
楽しくてなんぼじゃないですか!
サッカーに愛が感じないんスよ」
また訳の分からない事を言ったナツに秀人は
「俺たちは楽しくサッカーしてる風に見えるか?」
じっくりと目を見て聞いた。
ナツはそれに答えた
「それはわからないです!」
ハッキリと言った!
ナツは秀人が落としたスパイクを拾って言った。
「ただ朝からスパイク磨いている姿見て
サッカーに愛がないわけないんで!」
満面の笑みだった。
秀人は呆気に取られていた。
呆れたジンもいつものことだと言わんばかりに
秀人を見ていた。
「あっ!!あと一つ重要な事忘れてました!!」
みんなはナツに注目した。
「試合決めときました!
来週の日曜日にうちのグラウンドで新開と!」
第一話 動き出すend...