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色づく世界の首狩りドラゴン  作者: 筆々
第1章 首刈る竜と忘失の女神
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人生いろいろ、ままならない

「ベイルちゃん、良く似合っているわよ。ルミカちゃんも、とっても可愛いわ」



 お母様に褒められて、私とルミカが照れていると、お父様が私たちを撫でてくれる。



 今日は開放式――この世界に生きる者すべてが5歳の時にする行事。

 私の世界で言う七五三みたいなもので、一応3歳でスキルを確認するという行事があるのだけれど、私はお父様とお母様の仕事の都合でそっちはやっていない。3歳の行事は5歳と7歳の時と違って、絶対ではないからか、家で祝うことがほとんどだ。



 けれど、5歳の王宮管理の開放式と7歳の教会管理の神魂祭は違う。

 この世界を生きる上で必要な力を引き出す祭事で、当然私もこんな風に普段は着ないドレスを着せられ、今住んでいる叔母夫婦の治める領地から出て、王都に馬車で向かうことになっている。



 ひらひらと動きにくい格好だけれど、昔はこんな洒落た服も着ることはなく、何よりも色が付いている服が嬉しく、私は自身の体を見渡す。

 そしてルミカもいい機会だからと、私と一緒にやってしまおうと私ほどではないにしろ綺麗な服……ちょっと豪華なエプロンドレスになっており、少し居心地が悪そうだった。



「あぅ、ら、ライラ様、エイルバーグ様、こんな格好、メイドである僕には」



「そんなに遠慮しないで。ルミカちゃん、とても似合っているわよ」



「ああ、君のご両親にもぜひ見せてあげたかった」



 照れている隣に座るルミカを引き寄せ、私は彼女の曲がってしまったリボンを整える。



「ん、もっとしゃんとなさい。似合う服には相応の佇まいを」



「お、お嬢様ぁ」



 ルミカの頬をこねているとお母様とお父様が微笑んでいるのが見えた。



「ルミカのおかげでベイルは大分しっかりしてきたからね。お礼だと思ってくれればいい」



「そうそう、私も娘がもう1人出来たみたいで、とっても嬉しいのよ」



 ルミカが顔を赤らめており、この女神、こうやって褒められるとめっぽう弱い。

 しかし私と一緒の時はこんなにしおらしいことはないんだけれど、やはりお母様たちと一緒だとまだまだみたいだ。

 私はルミカの手を握り、そっと体を彼女に寄せた。

 するとルミカが控えめに見上げてきて、きゅっと強く手を握ってきてそのまま肩に頭を乗っけてきた。



 そうして私たちは馬車に揺られて、王都へと無事に到着した。



 元々叔母夫婦の領地と王都は離れておらず、半日程度で着く場所にあるけれど、私がそこに住んでいるのはドラゴニカという家を守るためだそうで、7歳の神魂祭までは私とお母様もあちらに住まなければならないそう。

 つまり、私にとって王都は初めての場所であり、異世界での初めての都会。



 馬車を降りた私は感嘆の声を上げた。



「お嬢様ぁ?」



「……ランドのお土産コーナーみたい」



「もっと他に例えようがなかったんですかぁ?」



 都会というからもっと東京みたいなところを想像していたけれど、よくよく考えなくても高層ビルや電波塔などあるわけもなく、ただ単純にあの大きなテーマパークの範囲を広げたような、そんな街並みをしていた。



「いや私海外行ったことないし、私が知っているところで形容するのは無理だった。そういえばルミカはここに住んでいたんだっけ?」



「はい、全部……とは言えませんけれど、それなりに案内も出来るですよぅ」



 ルミカの両親については彼女から聞いた。お父様の友人であったルミカの両親、しかし様々な要因から子を望めなかったらしいのだが、そこに神の何やかんやで無理矢理割り込み、ドラゴニカとの縁を作り、私に近づくつもりだった。

 しかしルミカをシッターに任せ、夫婦で日帰りの仕事に向かった先で魔物に襲われ、命を落としたそうだ。

 少し、既視感のある彼女の環境に、ほんのちょっと胸を痛める。



 ルミカは両親の死をひどく悲しんでおり、たまにだが私のベッドで寝ていると両親の名を呟き、涙を流している時がある。

 両親のことを本当に好いていたようだし、何よりも、誰かにああやって直接的に愛されるのは初めてだと話していたことから、本当に死を愁いていたのだろう。

 彼女を私のよう(・・・・)に荒れさせるわけにはいかない。



「案内は後でね。先にお墓参り」



「うぇ? 一緒してくれるですかぁ?」



「当たり前でしょ。ほら、行くわよ」



 私はルミカの手を握るとそのまま足を進ませる。

 その際、お母様とお父様が微笑んで私たちを見守るような視線を向けていたのが横目に映ったけれど、もう家族みたいなこの子に私が遠慮する必要はこれっぽっちもない。



 ルミカのきゅっと握られる手の体温を感じながら、私は王都の一歩を踏み出した。

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