捜11-01 王蒙無骨・倒懸龜
○王蒙無骨
司徒の蔡謨の親しきものに王蒙なる輩がいた。独り身で、常に蔡謨に養われていた。王蒙の身長は120cmほどしかなく、骨格を持たないよう見えた。蔡謨に取って抱き枕のような存在だったようである。
○倒懸龜
さてそんな王蒙はとことん蔡謨に可愛がられていた。
かつて蔡謨が王蒙に命じた。
「魚を捕まえよ」
すると車輪ほどの大きさの亀が捕まった。蔡謨は厨房に亀を運び込んだ。料理人たちはその亀を軒下にぶら下げた。
王蒙はその夜まともに眠れず、うなされるようになった。そのような状態が何日か続いた。
「何をうなされているのだ?」
「眠ると、夢の中で吊り下げられるのです」
む、これは例の亀が関わっているのではないだろうか。そう察した蔡謨が過日に入手した亀を見に行けば、果たして軒下に吊り下げられていた。
蔡謨は嘆じる。
「なるほど、これか!」
そして亀を解放すれば、王蒙はゆっくりと眠れるようになった。龜はいずことなく立ち去った。
王蒙無骨
司徒蔡謨親有王蒙者,單獨,常為蔡公收養。蒙長纔五尺,似為無骨,登床輒令抱上。
倒懸龜
司徒蔡謨親友王蒙者,單獨,常為蔡公所憐。公嘗令曰:「捕魚。」獲龜如車輪。公付廚,帳下倒懸龜著屋。蒙其夕纔眠,已厭。如此累夜。公聞而問蒙:「何故厭?」答云:「眠,輒夢人倒懸矣。」公容慮向龜,乃令人視龜所在。果倒懸著屋。公嘆云:「果如所度!」命下龜於地,於是蒙得安寢;龜乃去。
(捜神後記11-1)
王蒙さんにさんずいがついてたらえらいことになってましたぞぇ……(王濛、東晋中期ナンバーワンの声望家の一人)




