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揺訳 捜神後記/異苑  作者: ヘツポツ斎
捜神後記一巻 神秘的存在との邂逅
7/198

捜01-06 劉驎之・穴中人世

○劉驎之


南陽なんよう劉驎之りゅうりんしは字を子驥しきといい、山沢の散策を好んだ。

あるひ薬草を取りに衡山こうざんに分け入ると、散策に夢中となり、時を忘れた。とある渓谷に踏み入ったとき、沢の南にふたつの石蔵があった。ひとつは扉が開き、ひとつは閉じている。ただし沢は深く、到底渡れそうにない。そのため帰宅しようと思ったが、道を見失い、帰れなくなってしまった。途中で偶然木こりと出会えたため、道を聞き、なんとか帰還が叶った。

劉驎之が帰宅すると、ある者が「その石蔵には仙草や靈藥などが収められているのかもしれない」と語る。そこで劉驎之は改めて石蔵を探そうとしたが、見つけることはできなかった。



○穴中人世


長沙ちょうさ醴陵縣ほうりょうけんには梅花泉ばいかせんと呼ばれる小さな泉がある。とある二人組が木を切りにこの泉にまで漕ぎ出したところ、岸に穴が開き、そこから流れ込む水に乗り、新たに切られたと思しき木片もまた流れ込んでいた。穴の向こうの山にも、ひとの行き来した跡がある。二人は不思議に思い、言う。

「試しに穴に潜り、どこから来ているのかを探ってみようか」

そうして一人が笠でもって流れを遮りつつ進んで見れば、数十歩ほど進んだところで突然景色が開け、たが、まるで穴の外と同じような空間であったと言う。




劉驎之

南陽劉驎之,字子驥,好遊山水。嘗採藥至衡山,深入忘反。見有一澗水,水南有二石囷,一閉一開。水深廣,不得渡。欲還,失道;遇伐薪人,問徑,僅得還家。或說囷中皆仙方、靈藥及諸雜物。驎之欲更尋索,不復知處矣。


穴中人世

長沙醴陵縣有小水一處,名梅花泉。有二人乘船取樵,見岸下土穴中水逐流出,有新斫木片逐水流,上有深山,有人跡,異之。乃相謂曰:「可試如水中,看何由爾?」一人便以笠自障,入穴,穴纔容人。行數十步,便開明朗,然不異世間。


(捜神後記1-6)





異界譚が続きますねえ。なお劉驎之は世説新語にも登場する、晋末の著名な隠者です。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054885782310

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054887121686

蒙求にもいます。

https://kakuyomu.jp/works/16816700428584992583/episodes/16817330653170254718

桃花源記の別の版では劉驎之が桃花源を探してたどり着けなかったりもしています。このへんのバリエーションはまともに追おうとすると地獄っぽいですね、くわばらくわばら。

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