捜03-04 馬溺消瘕
昔、ある男がその奴婢と同じ病にかかった。腹にぽっこりとしこりができたのである。どうにも治る気配がなく、やがて奴婢は死んでしまう。そこで男が奴婢の腹をかっさばいたところ、真っ赤な目をした、白いスッポンが現れた。
男はこのスッポンどうにかしようと、様々な毒薬を調合してその口元に放り込んでみたが、まるで効き目がない。どうしようもなかったので、ひとまずスッポンをベッドの足に結びつけておいた。
その話を聞き、一人の客が白馬に乗り、訪問してくる。このとき男はスッポンを外に持ち出して客に見せたのだろう。そこに白馬がしょんべんをぶちまける。驚いたスッポンはションベンから逃げようと走り出したが、さすがに紐にはくくられたままであった為逃れることが叶わなかった。このため甲羅に頭と足を引っ込め、どうにか免れようとする。
男はスッポンの様子を見、息子に言う。
「あるいはこの病、治るかもしれん」
そこで男がたらいに白馬の尿を溜めさせ、そこにスッポンを浸してみたところ、スッポンはたちまち数リットル分の水となり溶け去った。
そこで男は白馬の尿を2リットルほど譲り受け、服用。すると腹のできものがたちどころに癒えたと言う。
昔有一人,與奴同時得腹瘕病,治不能愈。奴既死,乃剖腹視之,得一白鱉,赤眼,甚鮮明。乃試以諸毒藥澆灌之,並內藥於鱉口,悉無損動;乃繫鱉於牀腳。忽有一客來看之,乘一白馬。既而馬尿濺鱉,鱉乃惶駭,欲疾走避溺,因繫之不得去,乃縮藏頭頸足焉。病者察之,謂其子曰:「吾病或可以救矣。」乃試取白馬溺以灌鱉上,須臾便消成數升水。病者乃頓服升餘白馬尿,病豁然愈。
(捜神後記3-4)
ぼく「奴婢くんェ……」
こういう話には強引に寓意をねじ込んで楽しむのが良いですね。言うで今の段階では特に思い浮かびませんので、なにか美味しいところで使えそうなら採用したいところです。どれだけうまく心の棚に取り出しやすく陳列できておけるか。うまく遊べるようにしておきたいもの。