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揺訳 捜神後記/異苑  作者: ヘツポツ斎
捜神後記三巻 動物や変異した存在
17/198

捜03-02 掘頭船・禾滿

○掘頭船


臨淮公りんわいこう荀序じゅんじょ、字は休玄きゅうげん荀顗じゅんぎの兄の玄孫に当たり、荀顗の死去に際しその爵位を継承したそうである。母は華氏かしで、たいそう荀序を愛していた。十歲のころ、南臨なんりんから帰還するに際して青草湖せいそうこに船を浮かべた。するとひょうと風が吹き、ちょうど甲板に出ていた荀序は湖に落ちてしまった。しかも悪いことに帆が風を大いにとらえ、荀序の落ちたところからすぐに数キロを進んでしまう。滔々とした波の向こうを眺め、絶望と悲嘆に暮れる華氏。すると間もなくして、粗末なポートにのった漁父が櫂で漕ぎ漕ぎ、しかし飛ぶような勢いでやって来た。そこには荀序の姿もある。漁父が言う。

「府君をお返しします」

荀序はその後地位も常伯じょうはく長沙相ちょうさしょうとなり、府君ふくんと生きながらにして呼ばれるようになった。



○禾滿


廬陵ろりょう巴邱はきゅうの人、文晃ぶんこう。代々田畑を耕してきた人物である。數十頃もの田畑を抱え、徐々にその家財を増やしていった。東晉の太元たいげん初、つまり孝武帝こうぶていが即位して間もなくの頃。秋にあらかたの米の収穫を終えたその翌日、田の稲がなぜか再び実っていた。文晃はすぐさま再び刈り取り、倉庫をいっぱいとさせることができた。ここから巨万の富を得たという。




掘頭船

臨淮公荀序,字休玄。母華夫人,憐愛過常。年十歲,從南臨歸,經青草湖,時正帆風駛,序出塞郭,忽落水。比得下帆,已行數十里,洪波淼漫,母撫膺遠望。少頃,見一掘頭船,漁父以楫棹船如飛,載序還之,云:「送府君還。」荀後位至常伯、長沙相,故云府君也。


禾滿

廬陵巴邱人文晃者,世以田作為業。年常田數十頃,家漸富。晉太元初,秋收已過,刈獲都畢。明旦至田,禾悉復滿,湛然如初。即便更獲,所獲盈倉。於此遂為巨富。


(捜神後記3-2)




荀序の母の華氏はたぶん華歆かきんの同族なんでしょうね。ただ晋書にはその後子がいなかったため断絶した、と書かれています。そして府君はだいたい死んだ人につけられる呼び名。このへんはそこからニュアンスを拾ってくるべきなんでしょう。禾滿はこれ、文晃の農地運営の手腕があんまりにもずば抜けていたからこうしたジョークも飛んだ、とかなんでしょうかね。

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