ここから始まる物語
足を踏み鳴らしながら『ギフト』の階段を猛ダッシュで上る音が響く。
そして、思いっきりドアが開かれた。
「店長!! 俺のこと騙したなっ!!!」
「あっ、シフェルくん待ってたんだよ」
怒鳴る翔を店長はスルーして後ろからついてきたシフェルを攫っていく。
翔が止めようとしたがもう遅い。
「人の事、思いっきりスルーかよ」
「店長は、そういう人だからね」
勇の言葉に翔は溜息をつくと近くにあったイスに座った。
勇も同じようにイスに座る。
「そう言えば、あんな化け物とか本当居るんだな」
「滅多に出ないけどね」
「そうなのか?」
翔はてっきり、そこらじゅうでしょっちゅう出ていてそれが害を出さないうちに退治していたりするものかと思っていた。
「最近は魔物が出てくる入り口になるところが殆ど無いんだ。入り口が無かったら魔物もこっちにはこれない」
「へ~、それって魔物はこっちの生物じゃないって事?」
「う~ん、ちょっと違うけど。まぁ、大体そういう事かな」
なるほどなるほどと翔が頷いていると翔が開けたようにドアが思いっきり開く。
「やほやほ、お待たせしたね」
「いやっ、別に待ってないけど……」
意味不明なことを言って入ってくる店長にばっさりと翔が言葉を返す。
勇は苦笑いを浮べる。店長の常に上がりっぱなしのテンションに若干ひいてるのだ。
「もう、みんな反応が冷たいね~、そんな事だとフラグとかたてられないぞっ♪」
店長は周りのことなど気にせずにテンション上がりっぱなしのまま喋り続ける。
なんだか、発言的にかなり痛いという事も気づかないのだろうか。
「まぁ、そんなことはともかくねぇ~、じゃっじゃじゃ~~~ん」
奇妙な効果音をつけながら背後にから誰かを押し出す。
「っ!? どこぞのホストだその格好!!!」
「いやぁ~、あの服じゃ周りから浮きまくりだしね?」
「この服でも浮きまくりだろっ!!!!!」
背後から出てきたのはシフェルだ、怪訝そうな表情をしながら店長と自らの主を眺めている。
「なぜ、服装ぐらいでここまで騒ぎあう……」
「人間はそんなものなよ、つまらない事で騒いでそうやって生きることを楽しむ」
答えるように呟いた勇を見るとシフェルはそうかと呟いた。
店長と翔がわ~わ~騒いでいると毎回毎回乱暴に開かれるドアが優しく開いた。
「お店の方、少し静かになりましたからお茶でもどうですか?」
そういう由梨の手には高級そうな洋菓子と紅茶が載ってた。
それを見つけた店長が子供のように目を輝かせる――年齢不詳なので、もしかしたら本当に子供なのかもしれない。
「そうしよう、お茶しよう~、さぁさぁ、みんな席につきなさ~い」
「うぅ、なんか子供っぽいぞ」
そう言いながら席に着く翔もこどもぽかったりする。
由梨は手際よく、洋菓子を並べていくと自分もイスに腰をかける。
「うわ~、このお菓子美味しい。こんな美味しいの始めてかも」
「そりゃ、お菓子については金に物言わせて美味しいもの入れてるからね」
「それって、使い方あってるんですか?」
そうやって、楽しく会話をしながら翔は思う。
無茶苦茶な人たちとか(特に店長)居るがここは凄く楽しい。
ここでなら、働いていけると。
なんか、凄く強引ですけど精霊使いの何でも屋は終わりです。
でも、続編が出たりするので楽しみにしてほしいな~と思います。
次回は、由梨ちゃんの精霊&能力が明らかになったり新キャラ
登場したりします。
キチンと流れを考えてから書こうと思うので時間がかかるかもです