漆黒の羽
「ここが依頼主が住んでるところ? 人なんて住んでるようには見えないんだけど」
周りにあるのは木ばかりで目の前にあるのは、とても誰かが祈祷しているとは思えない教会だ。
「依頼主が住んでる所じゃなくて妖魔が出てくる場所だからね」
「えっ? えっと今日は何するの?」
勇の言葉に違和感を感じた、翔が確認の為に今回の仕事内容を聞いてみる。
「妖魔退治」
「……帰る」
どうやら、翔は店長に騙されてしまったらしい。
心霊現象ならまだどうにかなると思っていた翔だが、妖魔退治と戦う事前提になると全力で拒否したいらしい。
翔が踵を返して帰ろうとすると案の定襟を勇に掴まれた。
「人に仕事を押し付けようとしない、それとお前にはシフェルが居るんだからどうにでもなるだろう」
「う~、確かにシフェル強そうだけどなんか俺が死ぬギリギリまで放っておきそうなんだもん」
「……おい、炎使いそれと主、くるぞ」
シフェルが呟くと即座に飛び退く勇、翔は翼を生やしたシフェルに攫われた。
次の瞬間、教会の窓や扉から触手のようなものが出て襲い掛かってくる。
勇は、それを焼き払って、シフェルは鎌で切り裂く事で応戦する。
「本体は教会の中か……どうやって近づこうかな」
「直接突っ込めば良いだろう」
「無茶なこと言ってくれるね、死神っぽい方は」
そう悪態をつきながら戦うところから勇にまだ余裕があることを感じさせる。
一方シフェルはさっきから無表情に触手を払い続けている。
「なぁ、シフェルこれっていつまで続くんだ」
「本体を倒すまでだな」
「じゃあ、早く倒してくれよ~」
さっきからシフェルの腕に守られては居るのだが、こちらに触手が突っ込んでくると言うのは、とてつもなく気色が悪いのだ。翔としては早く終わらせてもらいたい。
「とは言ってもなこれでは近づくのは難しい、少々手荒でも良いなら方法はあるが」
「んじゃあ、それでも良いからさ」
「そうか……炎使い後ろに下がっていろ」
「……? 分かった」
勇は、何をするつもりかと疑問を浮べていたがおとなしく前にある触手を一通り燃やし尽くすと後ろへ下がった。
それを確認するとシフェルはなにやらブツブツと呟きだす。
徐々にシフェルを中心にして羽が渦を巻きだす。
「……滅せよ」
一斉に羽が教会に向かって舞っていく。
羽に触れた触手は、跡形も無く崩れ去る。
それが教会の窓から扉から入っていくと爆発音がして視界が砂埃で埋め尽くされる。
「なっ何が起きたわけ?」
「破壊しただけだ」
砂埃が風に吹かれて、視界が良くなってくると先ほどよりもましてボロボロになった教会が現われる。触手はどこにも見当たらない。
シフェルは地面に着地すると翔を降ろした。
「一撃で殲滅ですか……翔とシフェルだけで十分だったんじゃない?」
「こんな事に巻き込まれるなんてごめんだけどね……それより早く帰ろう店長に文句言わないと気がすまない」
「そっ、じゃあ帰りますか」
戦闘シーン苦手です><
ならかくなって話ですね……