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漆黒の翼

「あ~、疲れた」


翔は、一言そう言うとベッドへと倒れ込んだ。

あの後翔は、これでもかと不良達に追いかけ回され、息も絶え絶えで、どうにか逃げ切れた頃には日が暮れていた。


(うぅ、このまま寝たいなぁ~)


やらなきゃいけない事があると思いつつベッドでごろんごろんと寝返りをうつ。

寝返りを打っていると太股に痛みを感じて、ごそごそとポケットを漁った。


「あっ」


ポケットから出てきたのは、昼間のアンクレットだった。

不良に追いかけられ結局交番に持っていけなかったのだ。

どうしようかなと思いながら手で弄んでみる。

すると、月明かりに照らされてアンクレットが銀色に輝いた。


「綺麗だな」


翔は、そう呟くとパッ起き上がった。


「アンクレットだから足につけるんだよな? でもこのデザインだとブレスレットの代わりにもなりそうだよな」


何を思ったのか翔は、急にアンクレットを装着し始める。

それが変化のキッカケとなった事に翔は気付かない。

鳥や虫のさえずりが止んだことにも風の音が止んだことにも

そして、アンクレットの輝きが増していったことにも。


「良し! やっとつけれた」


満足気に手首に巻いたアンクレットを月明かりに照らす。

そこでやっと翔は、違和感に気がついた。


「あれ? なんか変な感じが……」


次の瞬間アンクレットが眩しい程に輝きだすと同時に部屋が

緑色に輝く紋様に埋めつくされた。魔法陣なのだが、当然翔には分からない。

アンクレットの輝きが鎮まると部屋の中に黒い羽が舞った。

そして中央には、漆黒の翼を持った男が現れていた。

翔が目の前で起こったことが理解できず呆けていると男が口を開いた。


「なんだ、普通の人間か」


男が発した第一声はそれだった。

その言葉に普通でなにが悪いと反論したかったが喋る余裕がまだなかった。

背中に羽を生やした普通でない男が続ける。


「まぁ、良い……名を与えろ」

「…………」


沈黙している翔を聞こえなかったのかと男が言い直す。


「我に名を与えろと言っている」

「……」


二度も無視されたことに男に苛立ち今度は、声に威圧感を込めて言う。


「……名を与えろ」

「ひゃっ、ひゃい!?」

「もう、言わんぞ……」


三度目で翔のどこかに旅をしていた魂が戻ってきて

声を上ずらせながら返事をするが男の反応が不機嫌そうなので再び翔は混乱する。


(名って名前のこと? それを与えろ? 意味が分からない)


翔が、何を言われているか理解できずに沈黙していると

どんどん男が不機嫌になっていく。

それに合わせて周囲の空気もどんどん暗くなっていっている気がする。


(えっと、なんか良く分からないけどやばそうな気がする……でも、名前って……とっとりあえずなんか言わなきゃ)


そして、頭に浮かんだ名前を恐る恐る言ってみる。


「えっと、シフェルとか?」

「シフェル? 何だそれは……? まぁ、良いこれで契約が結べる」


再び、黒い羽が舞い今度は二人の間を囲うように渦を巻きだす。


(今度は、なに?)


渦を巻いている羽を目で追っていると急に翔の胸に痛みがはしる。


(うっ、なんか気持ち悪い……)


苦しみに耐えられずに翔が意識を手放してしまうと翔の体を男が抱きとめた。

徐々に渦を巻いていた羽が落ちていき、全て落ちてしまうと男は満足げに笑みを浮べた。


「契約成立だ」

情景描写とか心理描写とか苦手です……

とても、読みにくいと思います

すみません;

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