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えがきかけ
礼をいって戸をくぐると、囲炉裏のあるひと間と、なにか作業をするための広い板間があった。
「 ―― これは、おみごとな」
作業のために置かれた戸板の上には、おおきな紙がひろげられ、画きかけの女の姿がある。
美人画というのともちがい、ジョウカイがいままでみたことのないほど、『本物』のような女がそこにいた。
おはずかしい、と男はその画をふりかえる。
「 どこの宗派にもぞくしていないもので、 ―― ただ、みたものをそのまま画きたいとおもい、このような趣のないものに」
「いやいや、ごりっぱ。 ―― なにしろ、魂がこもっているようだ」




