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のこる女
そんなに、はっきりと覚えているわけではないので、たしかこんなかんじであった、とかるく筆をはしらせ画いたいうほどのものだ。
とくに美人というわけでもなく、なにか強く残るものもなく・・・。
あらためて、画いた紙をもちあげて見てみるが、街のどこかであったという記憶もない。
もちろんここにきて、山のふもとの里でもみたこともない。
というよりも、どうして夢がさめても、こんなにのこっているのかとふしぎなほど、めにつくものがない女だ。
それなのに、起きてからすぐ、画いてみようと筆をとったのだ。