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山に棲むもの
水は、山あいをくだったところに川があり、幾日かおきに、くみにいっている。
おかげで、からだつきもかわり、山を一日中歩き回っても疲れなくなった。
この山の持ち主である、ふもとにすむ里長が、四月ぶりに会ったこちらに驚いて目をみはった。
「 なんじゃ、すぐにねをあげておりるかと思うたに、山にむいとるんじゃのお」とわらって背をたたき、そういやあ、もう山のアヤカシにはあったか?それともモノノケにおどかされたか?ときいてきた。
「 あの、それは、どういうモノたちなので?」
ここにくるまえ、山にひとりでいれば、何かでる、ときいたことはあるが、そういうモノにあったという人には、会ったことはない。