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慣れ
けっきょくは、それがよかったようで、実家の商売は弟に同情する客たちがよくしてくれて、うまくまわり、 ―― 兄は、山の中のひとりぐらしを楽しみ始めた。
家の中のことというのは、いままでやったことはなかったが、通いでやってくる下働きの爺やにおそわり、ひと月ほどでもう、こなくていいから、といいつけ、さらに両親へも手紙をかいてもたせた。
それでも、心配なのか、爺やは二月に一度は、家からもたされた米やお茶、ときには布団をせおってやってくる。
いまでは、爺やにお茶をいれてやることもでき、風呂もわかせるようになった。